2015 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドマイクロ切削工具エッジ形状のサブナノメートル超高精度計測法の研究
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15F15060
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高 偉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70270816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN YUANLIU 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ計測 / 超精密計測 / 分子動力学シミュレーション / ダイヤモンド工具 / 原子間力顕微鏡 / FS-FTS / 反転エッジ / 自律的計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究題目では「次世代ダイヤモンドマイクロエッジ形状の自律校正」について取り組み,反転エッジ形状を利用した工具刃先のマイクロエッジ形状の新規な自律的測定法を確立し,その有効性を実験的に実証する事を目的とする.本題目では,ダイヤモンド工具先端のマイクロエッジを軟質金属表面に押し込み,表面に形成される反転エッジの形状とダイヤモンド工具先端の形状から測定に起因する誤差を分離することで,自律的にマイクロエッジの絶対形状を算出できる.工具エッジと反転エッジの形状は原子間力顕微鏡顕微鏡(AFM) により測定され,それぞれの測定形状との比較からAFMプローブおよび計測の誤差を評価する.ナノスケールの反転エッジ形成過程およびAFM による工具エッジ・反転エッジの計測過程においては,原子オーダでの機械的・化学的相互作用を無視できないため,分子動力学(MD)シミュレーションにより反転エッジ形成およびエッジ-チップ間の相互作用を数値計算し,工具エッジとAFMチップの形状を反転エッジ形状から分離して算出する.それらの結果に基づいて反転エッジ差動法を確立させ,最適なエッジ転写とAFM 形状測定の最適条件を論理的に検討する. 平成27年度は,軟質金属表面に反転エッジを形成するための高感度力検出型工具制御装置の構成とダイヤモンド工具マイクロエッジ先端形状の加工機上計測およびAFM計測について取り組み,基本原理の確立と自律的測定法について検証した.構築した高感度力検出型工具制御装置による反転エッジの形成はMDシミュレーションと同程度の分解能と精度を達成し,シミュレーション結果を反映するために十分な性能を有することが確認され,またシミュレーション結果の妥当性についての知見を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度には,反転エッジ形成中にダイヤモンド工具先端に加わる加工力を高分解能かつ高精度に測定するための加工力検出型高速高精度工具制御装置(FS-FTS)を構築し,構築したFS-FTSの実験的な評価を通して反転エッジ創生に必要な高精度加工力検出機能を実現できていることが確認された.さらに構築したFS-FTSを用いて,ダイヤモンド工具先端の自律的な形状評価に関する手法の提案と実験的な評価を行い,本研究のFS-FTSはマイクロエッジ形状の評価のための反転エッジ形成に必要な分解能と測定精度を有していることが実験的に確認された.また本研究題目で開発したFS-FTSは加工機上計測においても有効な加工力計測の分解能と精度を有していることが確認され,次年度以降に計画されている加工機上計測においても応用可能であることが確認された. このため,次年度以降の分子動力学(MD)シミュレーションとの比較を行うための実験装置構成を構築することができ,また当初の計画に沿った加工機上計測研究への展開に関する可能性を得ることができたことから,おおむね順調に計画を進展させていると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,反転エッジ形成およびAFM計測における軟質金属表面のサブナノメートルスケールの変形検証するために,分子動力学(MD)シミュレーションを導入し,単一原子レベルでの挙動解析を行う.MDシミュレーションの結果は,FS-FTSを用いた反転エッジ形成およびAFM計測の最適化のためにFS-FTSとAFM計測の実験条件としてフィードバックする.MDシミュレーションおよび実験結果に基づいて,ダイヤモンド工具,反転エッジおよびAFMプローブ先端形状に起因する誤差の分離を行い,エッジ形状のナノメートル自律的計測法について検証する.マイクロエッジ形状の自律的絶対計測を加工機上において行うことで,高速・高精度なエッジ形状を実施する.ダイヤモンド工具により工作物表面に微細加工を施し,切削に伴い生じた工具エッジ形状の変化を加工機上で計測し,切削距離とエッジ形状摩耗量との関係を調査する.
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