2015 Fiscal Year Annual Research Report
ビッグデータ向け環境センサの基盤を支える有機アナログ集積回路
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15F15062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
染谷 隆夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90292755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAWROCKI ROBERT 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | e-skin / 有機エレクトロニクス / 超フレキシブルエレクトロニクス / 生体適合性エレクトロニクス / 神経形態学的 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、埋込み型のセンサ、分散情報処理ユニット、そして制御ユニットとしてソフトロボットの分野ですぐに使用できるような、スマートなe-skinを実現することである。
初年度は、個々のニューロンの実装 に取り組んだ。この課題では、神経ネットワークを極薄のフィルム上に実装することが必要である。また、それらのネットワークをフレキシブル有機センサと統合し、効率的にロボットを動作させるようにニューロンが正しく動作しているかの確認作業が必要となる。研究員は、有機エレクトロニクスを利用して神経模倣回路を世界で初めて実装している。この研究を発展させ、センサ・アクチュエータとして機能するフレキシブルで大面積なe-skinを作製するためには、解決しなければならない2つの課題がある。 (1)有機フレキシブルセンサを用いて有機神経回路を刺激すること、(2) 神経模倣的なe-skinを用いて制御システムを実装することである。初年度は、1つ目の課題を解決するために、前段の入力(センサ)と後段の出力(アクチュエータ)に合わせて神経模倣回路を最適化した。その成果は、以下の雑誌や学会で報告された:Advanced Electronic Materials(平成28年2月)、Materials Research Society(平成28年3月)、International Conference on Thin-Film Transistors(平成28年2月)
現在、より複雑な回路の製造に焦点を当てている。現段階では、神経形態学的回路の製造に必要な有機擬似CMOSとCMOSインバータの製造の最終段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機フレキシブルセンサを用いて有機神経回路を刺激することに成功しており、当初の予定通り、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2つ目の課題に取り組む。ソフトロボットの制御においては、同時にいかなる種類の「スマートアクチュエーション」にも適合しなければならない。ロボットの制御は複雑な問題であり、大抵の場合、現在のロボットの手足の位置と、目標とする未来の位置に関する複雑な数学が必要である。大抵、そのような問題はプロセッサに対する一連の外的な教育が必要となる。そしてその教育が手足の関節の形状にも影響をおよぼす。神経模倣的なロボット制御はすでに実証されているが、それは非常に複雑な(数十トランジスタを用いた)神経模倣回路を用いて硬いシリコン基板上に設計されたものである。そこで、e-skinの実現にむけて、有機エレクトロニクスとシンプルな(数トランジスタを用いた)神経模倣回路を実現していく。
具体的には、擬似CMOSとCMOSインバータを接続して神経形態を模倣した回路を製造し、生体適合性の電気信号に温度や圧力などの感覚情報を関連付ける機能を付加する。その際、センサの出入力をする神経形態の模倣回路を最適化するのことが不可欠である。また、e-skinを3D義肢やソフトロボットの表面(皮膚)に貼った場合の、伸縮性や電気的性能などの物理的特徴を検証していく。これらを組み合わせ、ソフトロボットや人工器官の触覚フィードバックを実現していく。
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Research Products
(3 results)