2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15F15089
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野尻 秀昭 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (90272468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHAKRABORTY JOYDEEP 東京大学, 生物生産工学研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | oxygenase / evolution / thermophile |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は好熱菌の完全長ゲノムを対象として、既知のRieske non-heme iron oxygenase (RO) のアミノ酸配列を用いた相同配列検索から未知のROを見出すことを試みた。データベースに登録されていた3,152個の完全長ゲノムのうち、113個が好熱菌由来であったため、代表的なROのアミノ酸配列を用いて相同配列検索を行ったところ、95個のRO候補が見出された。これらのうち、重複を除いた42個を用いて既知のROと共に系統樹を作成したところ、18個は既知のROから離れたグループに属することが明らかとなった。本研究ではこのうち、Thermus oshimai JL-2とGeobacillus thermoglucosidasius NBRC 107763が持つRO候補に焦点を当てて実験を進めることにした。ゲノムデータから、T. oshimai JL-2株は1種類のoxygenase候補の他に、2種類のferredoxin候補と4種類のreductase候補(いずれも電子伝達タンパク質)を持つこと、G. thermoglucosidasius NBRC 107763株は1種類のoxygenase候補の他に、1種類のferredoxin候補と3種類のreductase候補を持つことが明らかとなった。そこでoxygenaseとferredoxin候補についてはpET26b(+)、reductaseについてはpSTV28の各ベクターにクローニング後、大腸菌においてferredoxinとreductaseを様々な組み合わせで発現させることで、ROの活性が見られるか確認することにした。現在までにクローニングがほぼ完了したため、芳香族化合物の変換反応を利用した活性測定系の構築に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベースを用いた好熱菌由来の未知ROの探索については、当初計画していたよりも速いペースで解析が進み、生化学的な実験も順調に進んでいる。また、当初計画していた環境中の高温試料を用いたメタゲノム解析には至らなかったものの、予備的な情報収集は完了しており、次年度はスムーズにメタゲノム解析を開始できると期待されることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
クローニングが完了したT. oshimai JL-2株とG. thermoglucosidasius NBRC 107763株の推定ROと推定電子伝達タンパク質を大腸菌において共発現させ、基質と予測される芳香族化合物の変換や電子伝達を検出することで、インフォマティクス解析から見出されたRO候補の活性を調べる。また同時に、温泉水や底泥などの高温試料からメタゲノムライブラリーを構築し、新規RO候補を見出すことも試みる。これまでに温泉水中の細胞数が河川水などと比べて極めて少ない(10,000個/mL程度)ことが示唆されているため、温泉水からメタゲノム解析を行うために十分なDNA量が確保できない場合には、底泥のみを用いることも検討する。
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Research Products
(1 results)