2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study of construction of Text Database on Early Japanese dictionary
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15F15305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大槻 信 京都大学, 文学研究科, 教授 (60291994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIN WOONGCHUL 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | 古辞書 / 平安時代 / 翻字 / 注釈 / データベース / 類聚名義抄 / 構造化テキスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は次の点に関する研究を進めた。
1. 本文の校訂:昨年度に一通り翻字を完了した本文に対して、図書寮本『類聚名義抄』の主要八出典のうち現存する、玄応音義・法華釈文・法華音訓・篆隷万象名義との照合による校訂を行った。確認した〈引用原典における対応本文との校勘内容〉と〈対応箇所の位置情報〉は、今後公開するデータベースへ取り込むことを想定してデータ化した。さらに翻字本文そのものに対して原本調査(2016/8/19、於宮内庁書陵部)による確認を行った。以上の研究の結果は「図書寮本『類聚名義抄』の翻字と校注(足部)」として『訓点語と訓点資料』第138輯に公表した。 2. 本文の解析:図書寮本『類聚名義抄』の本文に対して掲出語と注文に分けて解析と類別を行った。そのデータに基づいて、部首引き辞書としては異例な部分といえる熟字項目に対して、その半数以上が実質的に単字項目に近いことを確認し、第115回訓点語学会研究発表会で「図書寮本『類聚名義抄』の熟字項目について」の題で発表した。 3. 構造化テキストの設計:翻字本文と校訂、そして解析によって得られた成果を、多様なフォーマットで効率的に共有する道具立てとして、構造化テキストの設計と作成方法について検討した。これは今後構築するデータベースの拡張性と二次的な活用と密接な問題である。漢デジ2016(2016/8/26、北海道大学)で「図書寮本類聚名義抄の本文解読とデータベース作成上の問題点」として報告し、人文情報学分野の専門家の意見を聴取することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の成果である翻字本文を改良し、それを解析・類別する中で得られた情報を、活用しやすい形式でデータ化することによって、データベース構築に備えた。さらに翻字本文と解析結果に基づいて構造化テキストにする方案を考究したことは、今後構築されるデータベースの活用性と拡張性を向上することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
主要出典との照合による本文校訂、本文解析を引き続き行う。本文校訂および解析を完了した部分に対しては、データベースとしてのテスト公開を進め、その設計と活用方法について報告する。さらに本文の漢文注については、その理解を助ける注釈として訓読文を作成する。
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Research Products
(5 results)