2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15F15307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
十一 元三 京都大学, 医学研究科, 教授 (50303764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO SHUO 京都大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | 共同注意 / 環境要因 / 自閉スペクトラム症 / 腹側注意ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、主に以下の3つの研究成果を挙げた。 1、定型発達者(TD)における共同注意能力について、環境要因によって影響することを示した。人の社会性発達基盤と考えられている共同注意能力は言語獲得や心の理論などの高次社会認知機能との関係が指摘されている。臨床において、ASD者はその能力が障害されていると言われているが、実験において、そのような報告は少ない。本研究は共同注意能力が環境要因によって影響されることを示した。特に、興味をもつ環境条件で大きく共同注意能力を示した。このことから、ASDにおける共同注意問題について、臨床と実験間のギャップを説明できる1つの結果だと考えられる。 2、自閉スペクトラム症(ASD)における共同注意能力の障害が腹側注意ネットワーク と関わる可能性がある。先行研究(平成27年度の成果2)では、複雑環境の中に手がかりパラダイムを用いて、TDとASDの共同注意能力を調べる。その結果、TDの共同注意能力は手がかりとターゲット刺激間の文脈効果によって影響されるが、ASDはそのような影響が見られなかった。ASDにおける共同注意の障害は複雑環境においての文脈効果処理の問題だと考えられる。本研究はその神経基盤を調査し、腹側注意ネットワークと関係することを示したので、ASDの共同注意障害が腹側注意ネットワークの活動と関わると考えられる。 3、ASDにおける共同注意の障害が手がかり刺激の自己関係性と関わる。複雑な日常環境の中では、自己関連づけが高い情報を優先的に処理することが非常に重要である。一方、ASD者は自己関連付け情報処理能力が弱いと言われている。本研究はそれらの報告間の違いについて、調査した。TDは自己と関連づける手掛りが優先的に処理されるのに対して、ASDはそのような効果が見られなかったから、ASDの共同注意障害は自己関連処理と関わると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画・実施した研究課題について、結果を統計学的に処理する上で十分な実験データを収集することができた。また、当初今年度に研究成果を投稿予定となった研究成果をすでに国際学術誌に投稿し、雑誌"Journal of Autism and Developmental Disorders"(平成27年研究成果2)に掲載された。さらに、本研究の成果は国際雑誌"Attention, Perception, & Psychophysics"(平成28年研究成果1)および"Scientific reports"(平成28年研究成果2)に掲載予定となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究推進方策について、引き続き臨床例データを収集していく。また、本年度の研究成果(3)をさらに、論文にしていくことと、これまでの研究成果をまとめて、国内外の学会に参加し、報告していく。
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Research Products
(6 results)