2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15F15310
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高原 明生 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (80240993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZANG LEIZHEN 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | 中国政治 / インターネット / 日中関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、蔵雷振特別研究員が来日し、研究がスタートした初年度である。しかし、すでに精力的な調査研究の成果が具体的な出版物として出ている。第一に、書籍としては、中国社会科学出版社から、蔵雷振『変遷中の政治機会構造と政治参加――新メディア時代の中国的情景』(原文は中国語)が出版された。ここでは、本研究で応用される方法論に基づいて、ソーシャル・メディアの使用状況と中国の都市における政治参加との関係について分析した。 論文としては、次が出版された。①蔵雷振、陳鵬「比較政治学研究における選択バイアスとその回避方策」(原文は中国語)、『政治学研究』2016年2月。これは、比較政治研究を行う際、定量的か定性的かを問わず、研究において選択する事例や変数にバイアスがかからない方法について探求したものである。②蔵雷振「新メディアが中国政治参加に及ぼす影響――政治機会構造の分析視角」(原文は中国語)、『新聞与伝播研究』2016年2月。ここでは、政府がインターネットで情報公開をするほど、市民の政治参加が活発化することをデータ分析により明らかにした。 また、27年度は予定通り日本国内の研究者とのネットワークづくりに着手することができた。まず、東京で桜美林大学の高井潔司教授と面談した上、北海道大学のメディア・コミュニケーション学院を蔵研究員が訪れ、西茹准教授及びその院生たちと交流した。その際には、高井教授も北海道大学まで同行してくれた。 日中関係に関しては、高原明生が多くの報告を内外で行い、研究交流に努めた。例えば2016年1月には4週間、ドイツのメルカトール中国研究所で上級客員研究員を務め、日中関係をテーマに四回の報告をベルリンとブリュッセルで行った。 概括すれば、平成27年度は研究の方法論についての探求を深めると同時に、研究交流のよいスタートが切れたと評価することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに調査研究が進展している。学会シーズンを過ぎてからの蔵研究員の来日となったため、学会報告の機会を得ることは難しいと承知していたが、予定通り、中国政治とインターネットに関する日本での第一人者である桜美林大学高井潔司教授の直接のご教示を得て、北海道大学メディアコミュニケーション学院での交流を実現させることができた。高井教授は本研究の意義をよく理解し、蔵研究員が北海道大学を訪れた際には自ら同道してくれた。 日中関係の研究についても、研究交流の多くの機会を得て、意見交換を頻繁に行うことができた。 また、インターネットと政治外交の関係という難題に臨むうえで、方法論を研磨し、発展させることが重要になるが、それについても複数の出版という形ではっきりとした進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、中国政治と日中関係に関するワークショップを6月に開催し、そこに中国の有力な研究者を招待して日本側研究者も交えた交流を実施する。具体的には、中国社会科学院政治学研究所の房寧所長、中国社会科学院日本研究所の楊伯江副所長、吉林大学の周光輝教授、北京大学の王浦劬教授らの来日が決定している。日本側からは、早稲田大学の天児慧教授、法政大学の菱田雅晴教授、静岡県立大学の諏訪一幸教授らの出席が決まっている。このワークショップをきっかけとして、本プロジェクトの研究テーマに即した、特に日本の研究者たちとのネットワーキングを推し進める。 日中の研究者たちとの交流と並行して、インターネットと日中関係に関するデータの収集とその分析に努める。そして、その成果を論文にする作業を開始する。もし準備が整えば、学会あるいはワークショップに参加して研究の中間成果を報告し、コメントを収集する。
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Research Products
(3 results)