2016 Fiscal Year Annual Research Report
定量リン酸化プロテオミクスによる大規模リン酸化ストイキオメトリー解析
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15F15343
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石濱 泰 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30439244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TSAI CHIA-FENG 京都大学, 薬学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | プロテオーム / 翻訳後修飾 / リン酸化プロテオーム / ストイキオメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ホスト研究室が得意とする翻訳後修飾・定量プロテオミクス技術をベースとし、候補者が得意とする新規手法開発と細胞生物学への応用を行うものである。具体的には、細胞内で生じている数万種のタンパク質リン酸化修飾それぞれに対し、基底状態でのリン酸化ストイキオメトリー(部位ごとのリン酸化されている割合)がどのくらいで、どのような刺激が加わると、ストイキオメトリーがどのくらいの時間でどのくらい変動するのかを測定し、システム生物学的観点から、細胞機能とストイキオメトリー絶対値もしくは変動値がどのような関係にあるのかを一網打尽に解明しようとする研究である。本年度は、前年度に引き続き、10種の複数試料を同時にLC-MS解析可能な新規の細胞内リン酸化修飾ストイキオメトリー測定法開発を行った。さらに、18O-ATPを用いる酵素的リン酸化反応で使用するキナーゼに対する阻害薬であらかじめ処理した細胞を試料とすることにより、本手法を細胞内における生理的キナーゼ基質の大規模同定に適用できないかを検討した。モデルキナーゼとしてカゼインキナーゼ2(CK2)を用い、その選択的阻害薬と組み合わせて実験を行ったところ、良好な結果を得た。さらに本手法を発展させ、上流キナーゼの阻害薬と下流に存在する複数のキナーゼによるin vitroリン酸化反応を組み合わせることにより、パスウェイ毎のリン酸化変動をモニターすることを試みた。また、基質候補ペプチドに対し、そのアミノ酸配列から基質らしさをスコア化し、実際にキナーゼ活性と連動するかどうかの検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、測定は順調に推移しており、今後も計画通りの進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、細胞内リン酸化修飾ストイキオメトリー測定法の確立を検討するとともに、キナーゼの生理的基質同定法やパスウェイ毎の変動解析法としての可能性についても検討を行う。さらにガン等のリン酸化修飾が原因となっている疾病におけるリン酸化大規模解析を行う。具体的には、ターゲットモチーフに異なるチロシンキナーゼを組み合わせた酵素的リン酸化反応を用いて、今まで定量が困難であったチロシンリン酸化修飾解析への適用を検討する。
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Research Products
(3 results)