2015 Fiscal Year Annual Research Report
酸化グラフェンハイブリッドに基づいたエネルギーデバイスの開発
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15F15347
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
速水 真也 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30321912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KARIM MOHAMMAD 熊本大学, 自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
化学的単層剥離によるグラフェンの合成を積極的に導入し、酸化グラフェン(GO)およびrGOの作製を行った。rGOの作製過程でGOが得られるが、GOは、高いプロトン伝導性を持ち、燃料電池の固体電解質として用いることができる。一方、還元体であるrGOは、その還元過程の手法によってp型、n型半導体特性の制御が可能で、グラフェンから成るpn接合素子によって炭素材料太陽電池の開発を可能にすることができる。さらにGOの高いプロトン伝導特性に着目し、それらを固体電解質として燃料電池、キャパシタなどへ展開できる。GOのプロトン伝導特性に着目し、GOを固体電解質として用いることで燃料電池やスーパーキャパシタへ展開し、さらにrGOの電子伝導性を電極として用いることでオールカーボンエネルギー変換システムの構築を目指す。ここでGOのプロトン伝導性に対して、GOの酸化度、官能基、欠陥の状態との関係を検討した。またヒドラジン還元したrGOと光還元したrGOのKFM測定を行うことで、ヒドラジン還元したrGOがp型、光還元したrGOがn型の半導体特性を示すことを見出した。これらを接合させることにより良好なダイオード特性の発現を観測する。また様々な条件下でのGOの還元で得られるrGOの半導体特性の制御あるいはその他の化学的還元や電気化学還元を用いることにより半導体特性の制御を試みた。またpn接合によるダイオード特性についても評価を行った。研究期間を通して、考えられる官能基、欠陥について第一原理に基づく理論計算(結合エネルギー、電子状態など)を行い、実験結果と比較検討し、官能基や欠陥と機能性の関係を明らかにすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学的単層剥離によるグラフェンの形成は、安価に酸化グラフェンやグラフェンを作製する有用な手法となり、今後未開拓の分野である酸化グラフェンおよびグラフェンによる新機能物質の先駆的開拓であり、それらから得られる特異的な機能性に関して未知なる可能性を秘めた探索となる。ここで提案する物質の一つである酸化グラフェンは、プロトン伝導特性を持ち合わせているとともに、物質が負に帯電しているため、カチオン性の物質と複合体を形成できるメリットがある。本研究は、基盤となる酸化グラフェンあるいはグラフェンによって効率よく機能創発を目指すものであり、各種カチオンとのハイブリッド化も視野に入れている。最終的にはレアメタルフリーでクラーク数上位の元素を駆使し、ナノ炭素材料のエネルギー変換システムの開発を目指すものであり、現在、酸化グラフェンあるいはグラフェンおよびそれらのハイブリッド化合物のエネルギー開発および機能物質開発は、現状の太陽電池・燃料電池に比べて性能およびコスト面の飛躍的改善が期待でき、本課題の研究によって先駆的なエネルギー変換システムの研究開発が推進できると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
水中でrGOに紫外線照射を行うと、水の分解が起こり水素と二酸化炭素が発生することを 見出した。これらの反応はrGO上でC + 2H2O → 2H2 + CO2のような反応が起こっていることが考えられる。種々の還元法で得られるrGOの光触媒による水の分解について詳細に検討する。またGOを還元して得られるrGOは数多くの欠陥が生じ、ジグザグエッジが数多くつくられることが予想される。GOとrGOは欠陥だけでなく官能基も磁性に影響している。グラファイトにCHが生じると室温超伝導になる可能性があることが報告されていることから、電気化学還元で作った多量のCH欠陥を持つrGOは室温超伝導を示す可能性もある。欠陥と官能基と磁性との関連を検討することで新規な磁性材料を作る。また磁場を印加しながら磁気抵抗の測定を行い、巨大磁気抵抗の可能性を見出す。
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