2015 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性膜分離法とアナモックスの融合デザインによる下水処理システムの革新
Project/Area Number |
15F15353
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 玉友 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30201106)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN RONG 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
|
Keywords | 土木環境システム / 用排水システム / 下水処理 / 嫌気性膜分離法 / アナモックス法 / 省エネルギー / MBR / メタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は資源回収と低炭素化に対応する革新的下水処理技術を開発しようとするものである。具体的には有機物の分解とメタン回収を実現できる嫌気性膜分離法と効率的に窒素除去できるアナモックスを組み合わせてバイオガスの回収を図るとともに、有機物と窒素の同時除去も実現する新規システムを確立するために、次の研究項目に取り組む:(1)嫌気性膜分離法による下水中の有機物除去とメタンガス回収の検討、(2)単体投入型一槽式アナモックスの検討、(3)嫌気性膜分離法とアナモックスの融合プロセスによる下水処理の連続実験、(4)システム評価と設計最適化の研究。この一連の研究を通して新規融合システムにおける物質収支、エネルギー回収を評価して、従来技術に比較しつつ新しいシステムのエネルギー回収や低炭素化効果を明らかにする。 平成27年度では、嫌気性膜分離法による下水処理の評価に焦点を絞り、実験装置を組み立て、トイレットペーパーを含む人工下水の連続実験を行い、水質浄化性能、メタン生成および膜分離機能に及ぼす滞留時間および排水組成の影響を把握した。具体的には、室内実験装置を25℃で運転し、水理学的滞留時間(HRT)を6時間~24時間に変化させて、(1)COD、窒素、リンなどの水質指標、(2)分離膜のろ過能力と膜圧の変化、(3)バイオガスの生成量と組成などにおよぼすHRTおよび下水組成の影響を把握した。また、単体投入型一槽式アナモックスの実験装置を組み立て、スタートアップを成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は有機物の分解とメタン回収を実現できる嫌気性膜分離法と効率的に窒素除去できるアナモックスを組み合わせしてバイオガスの回収を図るとともに、有機物と窒素の同時除去も実現する新規システムを確立することであるが、平成27年度では、嫌気性膜分離法のユニットと単体投入型一槽式アナモックスのユニットをそれぞれ稼働させ、スターアップに成功しているので、当初計画した目標はおよそ達成できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はおおむね計画通りの成果が得られたので、平成28年度以降は次のように取り組む予定である。 (1)担体投入型一槽式アナモックスユニットの構築: まず低炭素型窒素除去の要素技術として担体投入型一槽式アナモックスユニットについて、室温条件で低濃度アンモニア排水に対する処理性能を検討する。この実験を通してスタートアップ時間や生物膜の形成状況と代謝活性を把握する。 (2)新規融合プロセスの処理性能の実験的検討: 嫌気性膜分離反応槽を用いたメタン生成ユニットと担体投入型一槽式アナモックスを用いた窒素除去ユニットを融合した新規プロセスを構築して、温度、水理学的滞留時間、有機物負荷、窒素負荷などの下水処理の運転指標を変化させた連続実験と行い、処理水質を把握するとともに、各ユニットにおける微生物群集構造や機能性活性を明らかにする。特に1年間の連続実験を通してプロセスの実用性を把握する。 (3)システム評価と設計最適化の研究: 物質収支、エネルギー収支の観点だけでなく、LCA評価、LCC評価、リスク評価も含めて新規システムを評価して、従来技術に比較しつつ新しいシステムのエネルギー回収や低炭素化効果を明らかにする。
|
Research Products
(1 results)