2015 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外発光量子ドットの薬物動態解析および診断への応用
Project/Area Number |
15F15354
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
花方 信孝 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノテクノロジー融合ステーション, ステーション長 (10302796)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHINNATHAMBI SHANMUGAVEL 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノテクノロジー融合ステーション, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
|
Keywords | 量子ドット / バイオイメージング / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、量子ドットの蛍光強度を増強することによってバイオイメージングおよび診断システムに利用することである。当該年度は、バイオイメージングおよび診断システム構築の予備的研究のためにCdSe量子ドットを使用した。多数のCdSe量子ドットは非イオン性界面活性剤によるミセルに内包させることによって、量子ドット単独の時に比べて、量子ドットミセルの方が蛍光シグナルを増強することができる。この量子ドットミセルは細胞毒性が低く、かつ血清中のタンパク質の変性を伴わないことを確認した。また、作製した量子ドットミセルの回収を容易にするためミセルに量子ドットとともにマグネット粒子も内包した。作製した量子ドットミセルは平均サイズが約80 nmで、癌組織の血管を通過し、癌組織に集積されると考えられる。さらに、in vitroにおいて肺上皮癌細胞および子宮癌細胞に高効率で取り込まれ、分裂後も安定に細胞内に滞留することが判明し、癌組織のバイオイメージングに応用できると考えられる。また、この量子ドットミセルの血清蛋白質との相互作用を検討し、血清タンパク質の構造に若干の変化を与えるものの、安全性には問題ないことを確認した。 また、診断システムにおいては、検出したいタンパク質の抗体をプレートに固定し、被検タンパク質を結合させ、さらにビオチン標識抗体を添加後、ストレプトアビジンをビオチンに結合させる。このプレートにビオチン標識量子ドットミセルを添加することによって被検タンパク質を検出するシステムを構築中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標通り、量子ドットミセルを作製し、細胞への取り込み、細胞毒性、および血清タンパク質への相互作用を解析した。当該年度に得た結果は、現在、論文としてまとめ、投稿する予定である。また、国際会議において2件の発表を行い、概ね順調に遂行されていると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
癌組織のバイオイメージングに関しては非イオン性界面活性剤のミセルに量子ドットを内包することによってシグナルを増強でき、かつ安全性も担保されることが判明したので、実用化を目指して近赤外光を発するシリコン量子ドットをこのシステムに適応する。シリコン量子ドットは安全性が高いとともに、近赤外光は生体組織を透過するので、バイオイメージングのために適した素材であると考えられる。 また、診断システムは先に述べたシステムにより、癌マーカーであるCEAタンパク質の検出が可能かどうかを検証する。さらに、量子ドットはサイズにより発する蛍光波長が異なるので、異なる癌マーカーの同時検出システムの構築も視野に入れながら研究を進める予定である。
|
Research Products
(3 results)