2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15F15358
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
深田 直樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (90302207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUBRAMANI THIYAGU 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 太陽電池 / ナノ構造 / シリコン / フレキシブル / ポリマー / 遷移金属酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにn型Si ナノワイヤ、n型Siナノホールアレイおよびn型Siナノチップとp型導電性ポリマーであるPEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene) polystyrene sulfonate)による有機・無機複合太陽電池の開発を中心に行ってきた。しかしながら、p型層に採用したPEDOT:PSSポリマーは有機物であるため、時間経過とともに劣化する問題があった。そこで、本研究ではp型層の安定化と新規太陽電池開発に関する研究を行う。p型層の安定化の1つの策として、従来のPEDOT:PSSポリマーから遷移金属酸化物に置き換える。このp型遷移金属酸化物層はホール伝導層および電子のブロッキング層として働き、且つ、Siナノ構造表面のパッシベーション層としても働くようにする。また、オールSiからなり、フレキシブル特性を持つ新規なSiナノ構造太陽電池の開発も行う。以上の研究により、Siナノ構造体を利用した安価で環境負荷の小さい高効率太陽電池材料を開発し、Siの理論変換効率を超える次世代の太陽電池開発へ繋げることを目標にする。 初年度の研究期間は、外国人特別研究員が来日した2015年11月中旬からの4ヶ月半であり、新規太陽電池セルで最も重要なSiナノ構造の形成制御に関する研究を行った。Siナノ構造としては、ナノワイヤ型とナノホール型の2種類の構造を対象にし、各種モールドを利用したナノインプリント法および硝酸銀とフッ酸の混合溶液を利用した無電解エッチング法を利用して作製した。ナノワイヤ構造に関してはナノワイヤの直径および密度制御、ナノホール型に関しても同様にホールの直径と密度制御を行った。特に、無電解エッチング法を従来の単純な1工程のプロセスから2段階のプロセスに置き換えることで、Si基板上に高密度なSiナノワイヤおよびナノホールを形成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、新規太陽電池セルの作製において最も重要なSiナノ構造の形成制御としてナノワイヤ型およびナノホール型の2種類の構造を形成できている。ナノワイヤ型に関しては、ナノインプリント法を適用することで、簡便にナノワイヤの構造・配列を制御することを可能にした。ナノインプリント用のモールドを4種類準備することで4種類の異なる配列を作製した。ナノワイヤの直径は100-150 nmの範囲で制御した。ナノワイヤの高さは、ナノインプリントと組み合わせて行うドライエッチングの時間により制御できた。作製直後のナノワイヤ表面には、ドライエッチングの際に導入されたダメージ領域が存在する。そこで、ドライエッチング後にウェットエッチングを行うことで、表面ダメージ層を除去することができた。一方、無電解エッチング法では、一般的な単純な処理に代わって、独自の2段階のプロセスに置き換えることで、従来に比べて高密度のナノワイヤ形成を実現できるプロセスを確立した。また、ナノホール型に対しても、2段階プロセスを採用することで、ナノホール内のホールの形成方向、サイズ、密度を従来以上に制御可能にした。 更に、フレキシブル化のためのSi薄膜形成実験も行った。その結果、150μm厚のSi薄膜の作製までできている。 以上の研究成果は、研究計画に記載した全ての内容に対応しており、研究の進捗は順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は昨年度の結果に基づき、n型Si ナノワイヤおよびn型Siナノホールアレイp型導電性ポリマーであるPEDOT:PSSとの複合構造を利用した太陽電池セルの作製を行う。本太陽電池セルにおいては、PEDOT:PSS によりSi ナノ構造の表面を完全に覆うことで、良好なpn接合を形成する必要がある。ナノワイヤ構造の隙間およびナノホール内に効率よくPEDOT:PSSを浸透させるために、ジメチルスルホキシド等をPEDOT:PSSに加えることを考えている。また、ナノ構造を利用した太陽電池では電極形成も重要である。そこで、電極形成法に関しても最適化実験を行う。具体的には、電極形成法としてはスパッタ法、蒸着法を適用し、電極金属はTi、Ag、Alを、電極のパターン形成に関しても最適化を行う予定である。更に新しいSiナノ構造としてSiナノ結晶を利用し、Siナノ結晶からのエネルギー移動による変換効率の向上効果について研究する。 Siナノ構造とp型遷移金属酸化物とのヘテロ接合形成に関する研究では、バンド構造と膜の安定性を考慮して、MoOx膜をp型遷移金属酸化物の第一候補として研究する。更に、NiOx、V2O5、CuOx、WO3等へも研究を発展させ、ホール伝導層および電子のブロッキング層としての性能を電気的特性評価により調べる。更に、パッシベーション効果に関しても電子スピン共鳴法により詳細に調べる。以上の結果を総合的に分析することで、太陽電池セル利用において最適な材料、膜形成条件を導き出す。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Siナノ構造太陽電池2015
Author(s)
深田直樹
Organizer
第26回シリサイド系半導体研究会
Place of Presentation
ウィルあいち(愛知県)
Year and Date
2015-09-16 – 2015-09-16
Invited
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