2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッドSPH法を援用した津波ハザードマップの高度化
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15F15369
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60225026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
IBRAHIM AHMED 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 津波 / SPH / 粒子法 / 津波ハザードマップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は粒子法の一種であるSPH法を用いた津波シミュレーションモデルの構築に向けて,その基礎となる取り組みを実施した.まず,既往の文献調査としてSPH法,および関係の深い手法としてMPS,PIC法,DEM法などに関する過去の研究,適用事例等の幅広い文献調査を実施し,既往研究の分類整理を実施した. 次に,代表的な粒子法であるSPH法とMPS法の長所短所を比較するため,ダムブレーク, 障害物への衝突流など,基本的な単純なベンチマーク流れ(二次元および三次元)を対象に比較シミュレーションを実施し,数値解析結果の特徴を整理した.この結果,SPH法はチューニングパラメータが多いという欠点があるものの,適切に同定されたパラメータ群を用いた場合,MPS法よりも計算速度が大きく,安定性にも優れていることが示された.また,SPH法の優位性は粒子サイズの大きくなる大規模スケール流れにおいてより顕著となることも示された.このため,今後の津波モデルの同定にSPH法を用いることの妥当性が明確となった. さらに,上記の手順でチューニングしたSPH型数値計算モデルを,斜面上を進む粒子流れ,複雑形状の建物に衝突する粒子流れ等に適用し,その妥当性を既往の実験結果と比較しながら考察した.数値解析結果は概ね良好であり,界面フロントの位置,物体に衝突した際の圧力分布等を妥当に再現した.これにより,SPH法は津波などの界面大変形を伴う流れに対して強力なツールとなることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究がスタートして半年という短い期間であるが,着々と成果が上がっている.SPH法の津波への適用可能性については,すでに十分その可能性を示すことができたと思われる.また,4件の査読付き国際会議プロシーディングスが掲載,あるいは掲載決定されており,研究成果の公表も逐次進めることができている.以上の状況を鑑み,研究の進捗は概ね順調と判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,研究の主要ツールであるSPH法の基礎はほぼ構築されてきたといえる.今後は具体的な津波現象への適用に研究をシフトしていく.まず,単純な津波遡上実験をとりあげ,遡上距離の定量的予測が可能となるモデル構築のためのチューニングを実施する.その後,実地形の津波遡上現象を対象とするシミュレーションへと取り組みを進めていく.これらと平行して,国内外への学会発表,論文発表についても鋭意進めていく.
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Research Products
(5 results)