2016 Fiscal Year Annual Research Report
A visual Attention prosthesis using biologically accurate simulations of the superior colliculus
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15F15383
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊佐 正 京都大学, 医学研究科, 教授 (20212805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VEALE RICHARD 京都大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 上丘 / スパイキング・ニューロン・ネットワーク / サリエンシー・マップ / ニューラル・エンコーディング / 再生核ヒルベルト空間法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画のとおり、28年度の実績は主に二つある。実績の一つは、本プロジェ クトで開発した上丘のスパイキング・ニューロン・ネットワークのシミュレーションを行うための逆問題推定アルゴリズムを開発することに成功した。再生核ヒルベルト空間法を応用した計算アルゴリズムを用いて、上丘の生理学的なデータにフィットしたシミュレーションの活動を再現させるための、最適な微小電気刺激のタイミングと位置を計算することに成功したことである。 電気刺激によって誘発した活動と、アルゴリズムで計算した刺激に対して再現した活動の相関は0.98を越えた。開発したアルゴリズムとシミュレーション実験の結果を、本年の神経科学大会で発表する。主な実績のもう一つは、サリエンシー・マップで計算した視覚的な反応を、上丘のスパイキング・ニューロン・ネットワークのシミュレーションで、計算して微小電気刺激で再現させることに成功したことである。 数少ない電極で再現させることが可能かが不明であるものの、多数のサリエンシー・マップに対しての反応と再現させた活動の相関は0.81を越えた。本プロジェクトで開発したアルゴリズムやソフトウェアで、さらなる実績が生じている。本プロジェクトで行った実験を参考して、サリエンシー・マップが脳のどこにあるかについての総説を発表した(Veale, Hafed, & Yoshida, 2017)。 本プロジェクトで開発した、スパイキング・ニューロン・ネットワークのシミュレーションのパラメターを計測するためのPSWEEP2ソフトをもって、音声認識のためのスパイキング・ニューロン・ネットワークのパラメター計測にも成功して、発表した (Veale & Scheutz,2016)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトは現在までにおおむね順調に進捗している。28年度をもって、研究の計画にしたがって、提案の神経補綴システムに必要な二つの(a)上丘のスパイキング・ニューロン・ネットワークのシミュレーションと(b)逆問題推定のアルゴリズムの開発に成功している。この二つの正確さを確認するために、そして正確さをさらに向上させるために、シミュレーション実験をいくつか行った。その結果を、論文や学会で発表した。システムとして、最後のステップ(c)、(a)と(b)をつなげて、シミュレーションの動物(つまり、ロボット)に実行して、リアルタイムに問題なく動くかの確認を現在行っているところである。刺激に対して上丘がどう反応するかは、本プロジェクトで開発した実験とモデルでおおむね把握している。が、上丘がどういう仕組みで眼球を動かす、網膜からの上丘の入力と、上丘の浅層から深層への入力などの問題に関しては、モデルをつくるには、未だ実験データが不足している。現在、上丘の浅層から深層へのつながりを明確するために、上丘の異なるスライス実験のデーターをもって、シミュレーションを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を主に三つの方向に進める。第一に進める方向は、本プロジェクトの計画の最後の点、つまりサリエンシー・マップと上丘のシミュレーションで計算した電気刺激をもって、ロボットの目を動かすことである。既にiCubロボットのシミュレーションの目を上丘のモデルで動かすことには成功している。現在、上丘の浅部と深部のつながり方と、網膜からの入力にまた不明な点があり、それを調整するためのシミュレーションを実行している。今までと違う上丘のスライスのデータを用い、浅層と深層の結合様式を計測する予定にある。第二に進める方向はより実体に近い上丘のシミュレーションをつくるための開発である。現在のモデルはいわゆるネットワーク・モデルであり、ニューロンの反応は生物学的に正確ではあるが、計算を簡単にするためにニューロンの形によって起きる特徴が見えなくなる。ニューロンとニューロンを繋げるシナプスも、抽象的なものになって、実際の実験で起きている現象の再現ができない場合もある。上丘の実験に再現できていない現象が主に二つある。一つは薬学的に興奮のシナプスをとめた時、通常の抑制電流の30%くらいの電流がみられるところである。これをモデルに入れるには、電極によって抑制アクソンの刺激のモデルも必要となる。もう一つ再現できていない現象は、上丘の中部にあるWFV細胞のデンドライトの反応である。この二つの現象をモデルするために、ニューロンの形と、アクソンの流れをモデルする必要がある。第三に進める方向は、マウスで取りにくい上丘ニューロンのパラメターを、共同研究者の魚類(ヤツメウナギ)のデータをもって、本ポロジェクトで開発したPSWEEP2ソフトでパラメターを計測ですることである。Karolinska InstituteのGrillner教授とKardamakis教授のデータをもって、このシミュレーションを開始した。
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Research Products
(7 results)