2015 Fiscal Year Annual Research Report
BRCC36複合体によるK63結合型ユビキチン鎖特異的切断メカニズムの解明
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15F15386
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深井 周也 東京大学, 放射光連携研究機構, 准教授 (10361792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TAKAHASHI Tomio Samuel 東京大学, 放射光連携研究機構, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 分子認識 / DNA修復 / タンパク質複合体 / ユビキチン / X線結晶構造解析 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
BRCC36を触媒サブユニットとする脱ユビキチン化酵素(DUB)複合体は,K63結合型ユビキチン鎖(K63鎖)を特異的に切断する活性を持ち,DNA損傷応答や炎症・感染応答においてK63鎖を介した分子シグナル経路を調節する.本研究では,BRCC36複合体の一つであるBRISC複合体とK63鎖との複合体の立体構造をX線結晶構造解析や電子顕微鏡解析の手法を駆使して決定し,複数の制御サブユニットに依存したK63 鎖特異的な切断メカニズムを解明する.BRCC36のみならず,DUBの多くは複合体を形成して機能するが,複合体内で触媒活性や基質特異性が制御されるメカニズムは全く分かっていない.本研究で明らかとなるBRCC36 DUB複合体の活性制御メカニズムは,複合体として機能するDUBの活性制御メカニズムの理解にも役立つことが期待される.今年度は,BRISC複合体の結晶化条件(沈殿剤濃度,pH,温度,添加剤など)や発現コンストラクト(機能に不要な不安定な領域の除去など)を再検討し,結晶化の再現性を向上すると共に,回折測定に適する大きさに結晶を成長させることに成功した.しかし,分解能は構造決定に十分な高さに達しなかった.一方の電子顕微鏡(EM)による解析では,理化学研究所との共同研究でBRISC複合体の負染色像の観察とcryoEMによる氷包埋像の観察を行ったが,高分解能解析に適する像を得るには至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BRISC複合体の結晶化では,結晶の大きさと再現性に問題があったが,今年度は結晶化条件や発現コンストラクトを再検討することで,これらの問題を解決することができた.この改善により構造決定に適する分解能の回折データが得られることが期待されたが,残念ながら分解能の大幅な改善が見られなかった.一方,理化学研究所との共同研究での電子顕微鏡(EM)による解析でも,高分解能解析に向けた試料調製法を確立することができなかった.実験自体は計画どおりに行うことができたが,得られた結果は期待どおりとはいかなかったので,全体的にはやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
BRISC複合体の結晶は再現よく調製できるようになったので,結晶の凍結条件の検討や脱水処理などの結晶化後処理を行うことで分解能の向上を目指す.構造決定に十分な分解能の結晶を作製できた場合は,最近報告されたBRCC36-Abraxas複合体の構造をサーチモデルとした分子置換法による構造決定を行う.分子置換法による構造決定に至らない場合は,セレノメチオニンで標識したBRISC複合体の結晶を調製して異常分散法による構造決定を行う.また,様々な生物種のBRISC複合体の発現,精製,結晶化を試みることでも分解能の向上を図る.BRISC複合体の結晶は,基質であるK63結合型ジユビキチンが結合した複合体で得られており,全体構造が安定化していることが予想される.この基質が結合したBRISC複合体を用いてEMによる解析を試みる.
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