2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規生理活性糖AMORの受容体同定による植物糖鎖シグナリング研究の展開
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15F15388
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東山 哲也 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 教授 (00313205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SANKARANARAYANAN SUBRAMANIAN 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 受精能 / アラビノガラクタン糖鎖 / AMOR / 合成酵素 / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の細胞壁に含まれる糖鎖を介した細胞間シグナリングは、極めて重要と想定されてきたにも関わらず、これまで全く未開拓であった。そこで、当研究室で新たに発見された、植物の受精を促進する生理活性糖であるAMOR(化学合成した末端の2糖「メチルグルクロノシルガラクトース」だけで活性をもつ)に着眼し、植物において糖と相互作用する分子を見出す技術の構築を目指す。本年度は、AMORの構造活性相関について解析を進め、原著論文がPlant Physiology誌に受理された。研究分担者のSankaranarayananも大きく貢献し、共著者として名を連ねた。メチルグルクロノシルガラクトースの生成に関わる合成酵素の研究も進展し、生殖に関わる様々な異常が見られた。また、企業によるAMORの市販化が決まり、企業と共同で準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AMORの活性を維持したまま、AMORに蛍光分子を付加するのに適した部位を探索することを進めた。具体的には、AMORの活性を担う末端の2糖、メチルグルクロノシルガラクトースの異性体を複数化学合成し、構造活性を調べた。その結果、末端のメチルグルクロン酸の構造は極めて重要であり、4位のO-メチルなど、いかなる構造の変化も大きな活性の低下を引き起こした。一方で、ガラクトースはベータ結合した構造が重要であり、糖以外の構造であっても活性を維持することが示された。これにより、ガラクトースの部位を修飾することで、AMORに必要なリンカーなどを付加できることが明らかとなった。また、シロイヌナズナにおいてグルクロノシルガラクトースに関わる糖鎖合成酵素の突然変異体の解析を進めた。その結果、生殖過程に様々な異常が見られることが明らかとなった。現在表現型を詳しく調査している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通りに、AMORの活性を維持したまま、AMORに蛍光分子や受容体同定のためのリンカーを付加し、解析を進める。そのためには化学合成に必要な量のAMORが必要となるが、市販化されるAMORを用いることで、これが可能となる。AMORの作用メカニズムや受容体の調査を進める。またさらに、AMOR糖鎖合成酵素の突然変異体を用いて、シロイヌナズナにおけるメチルグルクロノシルガラクトースの役割を明らかにする。
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Research Products
(2 results)