2015 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質相互作用および細胞シグナル制御をターゲットとするポルフィリン分子の合成
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15F15713
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20222226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TABA FARGOL 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-07-29 – 2017-03-31
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Keywords | ヘムタンパク質 / DNA結合タンパク質 / ナノ構造 / タンパク質DNA複合体 / ポリアミンヘム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電子移動・触媒・センサー機能を有するヘムタンパク質の人工的な集合体を構築し、ヘムタンパク質集合体の機能化と細胞内における利用を目的とする。そこで、ヘムのプロピオン酸側鎖にポリアミン部位を連結した人工ヘムを新たに合成し、アポタンパク質のポケット内に挿入することによりアポアミン部位をタンパク質表面に導入した人工ヘムタンパク質を調製した。この人工ヘムタンパク質を、二重鎖DNAをテンプレートにして、ヘムタンパク質の集合化を実施した。合わせて、人工ヘムタンパク質とDNAの複合体が形成する特異なナノ構造が、細胞内への遺伝子導入と発現に及ぼす効果についての検証にも取り組んだ。 具体的には、ヘムのプロピオン酸側鎖にプロピルジアミン、オクチルジアミン、あるいはビス(3-アミノープロピル)アミンを4つ導入した補欠分子を合成し、アポミオグロビンあるいはアポシトクロムに挿入することにより、DNA 結合能を有するヘムタンパク質を調製した。同定は可視紫外吸収、質量分析により行った。次に、タンパク質構造への影響について、円二色性スペクトル測定により確認を行った。人工ヘムタンパク質のDNA 結合能を、DNA に結合する発光色素の消光実験による定性的な評価に加えて、二重鎖DNAとの結合を水晶発振子マイクロバランス測定法によっても決定した。アミノ基修飾ヘムを挿入した人工ヘムタンパク質と二重鎖DNAとの複合体の構造を原子間力顕微鏡による観察にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鎖長やアミン部の数を変更して構造の異なるポリアミンヘムの複数種について合成、および、これらをヘムタンパク質のポケット内に挿入した人工タンパク質の調製も完了しており、計画にしたがって進めることができた。また、ポリアミン修飾ヘムタンパク質との複合化は、蛍光測定、水晶振動子マイクロバランス、原子間力顕微鏡を用いて検証し、その複合体の構造解析にも成功しており、電気化学評価に関する検討についても、概ね順調に研究は進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリアミンを有するヘムタンパク質とDNA との複合化をより詳細に原子間力顕微鏡を用いて観察し、DNAのナノ構造への影響を明らかにする。あわせて、ヘムタンパク質集合体の電気化学的な評価を開始する。試料を金あるいはグラッシーカーボン電極にキャストして、サイクリックボルタンメトリーや微分パルスボルタンメトリー、またスキャン速度を変化した測定から、電位や電子移動速度などについての詳細に調べる。また、ポリアミンヘムおよびポリアミンを有するヘムタンパク質の細胞内への導入について検討を行い、細胞内での局在や細胞に及ぼす影響について調べる。
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Research Products
(1 results)