2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノシートおよびナノシートを基盤とする材料の光機能性:光学物性のチューニング
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15F15742
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
川俣 純 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40214689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MATEJDES MARIAN 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-07-29 – 2017-03-31
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Keywords | ナノシート / 光物性 / 粘土鉱物 / 膨潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
無機ナノシートに取り込まれた有機化合物には、有機化合物単体のときとは異なる特異的な光学物性を示すものがある。本研究では、(1)無機ナノシートそのもののデザイン、(2)無機ナノシートの層間に光学物性を示す有機化合物とは別の有機ホスト材料を共存させる事による層間環境のデザインという二つの方法論により、取り込まれた有機化合物の性質をチューニングできるようにする。このことにより有機物が持つ潜在的な特性を最大限発揮させ、優れた光学物性を持つ無機ナノシート-有機化合物ハイブリッド材料を創出するための礎を築くことが目的である。 本年度は、無機ナノシートの層間にカリックスアレーンやシクロデキストリンのような有機ホスト材料を共存させる事による層間環境のデザインと、無機ナノシートとして粘土鉱物を利用し、他のナノシートにはない粘土鉱物の大きな特徴である膨潤/乾燥を利用することによる層間環境のデザインの2つの課題に取り組んだ。 まず、カリックスアレーンやシクロデキストリンが層間に共存する無機ナノシート-有機化合物ハイブリッド材料では、層間に取り込まれた有機化合物の会合が大幅に抑制されることを示すことができた。この知見に基づき、光機能性の妨げとなる会合を生じさせずに、高密度で集積させることが出来るようになった。 また、粘土鉱物を利用した系では、取り込まれた有機化合物の集合状態を、膨潤/乾燥という外部刺激によりスイッチすることに成功した。具体的には、優れた光学物性を示すJ会合状態と、無会合状態とを膨潤/乾燥によりリバーシブルにチューンする方法論を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した2つの方法論のうち、層間環境のデザインについては、斬新で優れた成果を導くことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究で、無機ナノシート-有機化合物ハイブリッドにおける層間環境のチューニングの方法論がいくつか導くことができた。言い換えれば、有機化合物が潜在的に有する光学物性を増強することも毀損することもある会合状態を自在にチューンできるようになった。 平成28年度は、平成27年度の研究で得られた知見に立脚し、有機ラジカルの無会合かつ高密度な集合状態の実現にチャレンジする。有機ラジカルは、潜在的に優れた光学特性、特に非線形光学特性を持つとされながら、高密度、かつ、無会合な固体試料が得ることが難しいため光学材料としての利用にまでは至っていない。本研究では有機ラジカルが高密度で含まれた固相膜を作製することで、有機ラジカルの、非線形光学材料としての応用に道を拓く。
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Research Products
(3 results)