2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15F15754
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宝野 和博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, フェロー (60229151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SODERZNIK MARKO 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2017-03-31
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Keywords | 永久磁石 / 希土類磁石 / 保持力 / 磁区 / カー顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年従来のNd-Fe-B焼結磁石より、若干Ndリッチ組成にGaを0.5at%程度添加した焼結磁石で結晶粒径を微細化しなくても比較的高い保磁力が実現できることが報告され新しいタイプの省Dy型Nd-Fe-B磁石が昭和電工で開発された。この磁石の保磁力メカニズムを知るために、磁気光学カー効果(MOKE)顕微鏡による動的な磁化反転挙動の観察を行った。比較対象として、市販のNd-Fe-B焼結磁石の磁化反転挙動の観察を平行して行い、そのメカニズムに大きな変化があるかどうかを検証した。着磁状態から顕微鏡上で磁化と反対の外部磁界を加え、これら2つの試料の磁化反転挙動を動的に観察した結果、結晶粒が交換結合していると考えられる市販磁石では結晶粒界における磁壁のピニングが解放されると同時に一斉に磁壁移動が起こり磁化反転が進行するのに対して、結晶粒間の交換結合が分断されていると考えられるNdリッチGa添加磁石においては、磁化反転が結晶粒毎にかなり独立して起こることが分かった。この結果は平行しておこなった、マイクロマグネティックシミュレーション結果とも良い一致を示し、NdリッチGa添加磁石の高保磁力メカニズムならびに減磁曲線の角形性の低下の理由を明確に説明できるようになった。我々の最近の結晶粒界相の高分解能STEM/EDSによる解析結果では、市販の高エネルギー積磁石では結晶粒が強磁性結晶粒界相により交換結合されているのに対し、NdリッチGa添加焼結磁石では観察された全ての粒界相が非磁性であることが確認されており、今回のMOKE観察結果と良い一致をしめす。この一連の観察はNd-Fe-B磁石の高保磁力化のメカニズムを明らかにするもので、重希土類元素を使わない高保磁力Nd-Fe-B磁石開発に貴重な学術基盤となる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)