2016 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植後の免疫抑制剤腎障害の発生機序の解明と新規保護物質の開発に関する研究
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15F15756
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 室長 (60321890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU CHI 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫抑制剤 / 腎障害 / 腎移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度で作成したシクロスポリン腎毒性モデルマウスに対して、5-アミノレブリン酸(ALA)およびクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)の経口投与による腎障害軽減効果について検証を行った。 減塩餌を与えたC57BL/6マウスに、1ヶ月間30mg/kg/dayにてシクロスポリンの皮下注射を行うことにより腎毒性モデルを作製した。シクロスポリン投与と同時に、5-ALA/SFC(100/157mg/kg)の経口投与を行った。1ヶ月後、マウスの腎臓、血清等のサンプル採取を行った。 血清を用いた生化学的検討により、5-ALA/SFC投与群では腎障害の指標であるBUNおよびCreの増加の軽減が明らかになった。採取した組織に対してHE染色、マッソントリクローム染色、PAS染色を用いて病理学的な検討を行ったところ、5-ALA/SFC投与群では、著明な細胞浸潤、繊維化、再生尿細管基底膜の肥厚、糸球体メサンギウム基質の増生、ボーマン嚢基底膜の肥厚に対する軽減効果が認められた。さらに、免疫組織学的検討により、マクロファージの浸潤、α-SMAの発現増強の抑制が明らかになった。 繊維化に関与する事が知られているTGF-βおよびコラーゲン1の発現増加に対する抑制効果が、ウエスタンブロットの解析によって明らかになった。さらに、アポトーシスに関与するCaspase-3の発現の増加、また抗アポトーシスタンパクであるBcl2の発現低下に対する軽減効果が確認できた。この結果は、TUNEL染色による病理学的検討におけるTUNEL陽性細胞(アポトーシスに陥った細胞)の増加抑制の結果とも一致するものであった。また、qRT-PCRによる遺伝子発現解析の結果、炎症性サイトカインであるIL-6、TNF-α、iNOSのmRNAの発現増加に対する抑制効果が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り5-ALA/SFCによるシクロスポリン腎毒性の軽減効果が確認出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
培養腎細胞を用いて5-ALA/SFCに対する腎障害抑制効果の機序の詳細な検討を行う。
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