2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15F15763
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 拓矢 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30525986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QUINSAAT JOSE ENRICO 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 金属ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、環状両親媒性ブロック共重合体を用いた銀ナノ粒子の新奇分散安定化手法の開発である。これまでに当研究グループは、環状高分子から成るミセルが優れた分散安定性を有することを見出した。例えば、対応する直鎖状高分子ミセルと比較すると環状高分子ミセルは40°C差以上の耐熱性および約30倍の耐塩性を示すことを報告している。本提案では、この現象と当該外国人特別研究員が博士課程で行った金属ナノ粒子の表面修飾を組み合わせて、銀ナノ粒子を環状両親媒性ブロック共重合体で修飾することにより高分散安定化を狙う。つまり、上述の環状高分子ミセルは高い高分子密度を有するため、銀ナノ粒子を修飾した場合も同様に高密度の被覆膜を形成することで優れた表面安定性を示すと考えられる。さらに、応用として触媒・医療・光学・電子工学に幅広く用いられる金属ナノ粒子材料の性能向上につながる技術の開拓を目指すものである。 平成27年度の研究実績の概要として、銀ナノ粒子安定化に適した両親媒性の環状ブロック共重合体の合成を行った。つまり、様々な化学構造の疎水部や親水部および分子量を検討した。疎水部としてこれまでに環状高分子合成に実績にあるポリスチレンやポリアクリル酸アルキル等から着手し、銀ナノ粒子への親和性を調査した。親水部として現行のポリエチレンオキシドに加えてポリアクリル酸ナトリウムの検討を行った。その結果、非常に効率的な合成法を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた銀ナノ粒子安定化に適した両親媒性の環状ブロック共重合体の合成を達成したためおおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に合成した種々の環状ブロック共重合体を銀ナノ粒子の表面修飾に利用し、その安定性を検討する。この際、対応する直鎖状のブロック共重合体や一般に用いられるポリビニルピロリドン等の安定化剤と比較し、高分子のトポロジーに由来する安定性の差異を検証する。ここで、過酷な条件下での安定性評価として、溶存酸素濃度やUV照射に対する耐性を測定する。 さらに、銀ナノ粒子サイズの影響を検討する。一般的に、粒子がより小さければその大きな表面積や高い表面エネルギーのため凝集が起こりやすく材料として扱い難くなるが、環状高分子を用いてこれまで困難であったサブナノ粒子の安定化にも挑戦する。
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