2015 Fiscal Year Annual Research Report
Cabezaの核内区画局在へのクロマチンリモデリング因子の機能とALS発症機構
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15F15789
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 政光 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (00182460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LO PICCOLO LUCA 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | ALS / FUS / Cabeza / hnRNP / long non-coding RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ALS原因遺伝子FUSの遺伝子産物は通常核内に局在するが、ALS患者の下位運動ニューロンでは細胞質内に凝集体として存在することが知られている。このFUSを含む凝集体形成機構の研究からRNA代謝制御の欠陥がALSの病態に重要な役割を果たしていることが示唆されつつある。またALSの約5%が家族性であり、残りの95%が孤発性であることから、何らかのエピジェネティック制御が運動神経変性をもたらすことも示唆されている。 これまでにショウジョウバエのlong non-coding (lnc) RNA, hsrωがいくつかのhnRNPsの核内局在に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。興味深いことに、いくつかのhnRNPsはhsrωと共にω-specklesと呼ばれる核内構造体を形成し、ALS原因遺伝子FUSのショウジョウバエホモログCabezaが、このω-specklesの構成因子であることも明らかにしている。これまでにいくつかのショウジョウバエALSモデルが報告されているが、lncRNAに関連した研究はまだ行われていない。FUSの細胞内局在変化はALSの理解に重要であり、これへのlncRNAの関与が明らかになると、ALS治療の新規標的候補としても意義が大きい。このような観点から、hsrωノックダウンショウジョウバエはALS病態解析の新しいトゥールとなると期待できる。おもしろいことに、実際にhsrωをノックダウンするとCabezaの細胞内局在変化を引き起こすことを見出しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALS病態へのlncRNA, hsrωの果す役割について研究するために、神経特異的なGAL4ドライバー系統(elav-GAL4系統)を用いて、神経特異的hsrωノックダウン系統と神経特異的hsrω過剰発現系統を作製した。このノックダウン系統と過剰発現系統それぞれの成虫脳から全RNAを抽出し、特異的なプライマーを用いた定量的RT-PCRを行い、hsrωが実際にノックダウンされていることと過剰発現されていることをそれぞれ確認した。現在この神経特異的hsrωノックダウン系統と過剰発現系統の成虫を用いたクライミングアッセイや幼虫を用いたcrawlingアッセイによる運動能力の検定と、神経・筋接合部のシナプス形態の観察を行いつつある。これら一連の解析により、lncRNA, hsrωの発現レベルの違いがショウジョウバエの運動能力に影響を与えることを明らかにする。またこれらの系統の神経系でのCabezaの細胞内局在について抗Cabeza抗体を用いた免疫染色法により解析し、野生型ショウジョウバエでの細胞内局在と変化があるか調べつつある。このように本研究は順調に進展しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の免疫染色に加えて、成虫脳から核画分と細胞質画分のタンパク質抽出液をそれぞれ調整後、抗Cabeza抗体を用いたウエスタンブロット法を行い、lncRNA, hsrωの発現レベルの違いによるCabezaの細胞内局在変化を定量的に解析する。もしCabezaの細胞内局在変化が見られれば、その仕組みについてRNA免疫沈降法などの生化学的な手法を用いて、さらに詳細な検討を加える。またヒト野生型FUSとALS患者由来の変異型FUS過剰発現系統を入手して、hsrωとの遺伝学的相互作用を調査する。また同時にFUSの細胞内局在も調査し、Cabezaで得られつつある知見がFUSにまで一般化できるか調査する。
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Research Products
(6 results)