2016 Fiscal Year Annual Research Report
Function of chromatin remodelers in nuclear compartment organization of Cabeza and ALS pathogenesis
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15F15789
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 政光 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (00182460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LO PICCOLO LUCA 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | ALS / lncRNA / hsrω / FUS / Cabeza / ショウジョウバエ / 細胞内局在 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)原因遺伝子FUSの遺伝子産物は通常核内に局在するが、ALS患者の下位運動ニューロンでは細胞質内に凝集体として存在する。このFUSを含む凝集体形成機構の研究からRNA代謝制御の欠陥がALSの病態に重要な役割を果たしていることが示唆されている。これまでにショウジョウバエのlong non-coding (lnc) RNAの一つである hsrωがいくつかのhnRNPsの核内局在に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。いくつかのhnRNPsはhsrωと共にω-specklesと呼ばれる核内構造体を形成し、ALS原因遺伝子FUSのショウジョウバエホモログCabezaが、このω-specklesの構成因子であることも明らかにしてきた。これまでにいくつかのショウジョウバエALSモデルが報告されているが、lncRNAに関連した研究はまだ行われていない。FUSの細胞内局在変化はALSの理解に重要であり、これへのlncRNAの関与が明らかになると、ALS治療の新規標的候補としても意義が大きく、hsrωノックダウンショウジョウバエはALS病態解析の新しいツールになると期待できる。hsrωを全神経あるいは運動神経特異的にノックダウンすると神経・筋接合部のシナプス長の短縮やブートン数の減少、運動能力の低下や寿命の短縮など、Cabezaノックダウンショウジョウバエと類似の表現型を示すことが明らかになった。またCabezaとhsrωが物理的に相互作用し、hsrωノックダウンショウジョウバエでは、本来核内に局在するCabezaが細胞質へと局在変化することを見出した。これらの結果は、学術論文にまとめて査読性のある国際学術雑誌Experimental Neurologyに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALS病態へのlncRNA hsrωの果す役割について研究するために、全神経特異的なGAL4ドライバー系統(elav-GAL4系統)と運動神経特異的なGAL4ドライバー系統(D42-GAL4系統)を用いて、hsrωをノックダウンした。これらのノックダウン系統の成虫を用いたクライミングアッセイや幼虫を用いたcrawlingアッセイによる運動能力の検定と、神経・筋接合部のシナプス形態の観察を行なった。これら一連の解析により、lncRNA hsrωの発現レベルの違いがショウジョウバエの運動能力や神経・筋接合部のシナプス形態に影響を与えることが明らかになった。またこれらの系統の神経系でのCabezaの細胞内局在について抗Cabeza抗体を用いた免疫染色法により解析した結果、野生型ショウジョウバエではCabezaが核内に局在するのに対し、hsrωノックダウン系統では、Cabezaが細胞質局在へと変化することがわかった。またRNA免疫沈降法(RIP解析)により、Cabezaとhsrωが複合体を形成していることを明らかにした。このように本研究は現在まで順調に進展しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ショウジョウバエのCabezaとhsrωに関して、これまでに明らかになったことを、ヒトまで一般化するために、ヒトFUS過剰発現系統を用いて、ヒトFUSとhsrωの遺伝学的相互作用を解析する。またhsrωをノックダウンした時にヒトFUSタンパク質の可溶性に変化があるのか、生化学的に調査する。同時に内在性のショウジョウバエCabezaの可溶性についても調べる。またこれまでにヒト培養細胞やマウスを用いた研究で、野生型FUSとALS患者で見られる変異型FUSがミトコンドリア傷害とアポトーシスを誘導することが報告されている。そこでヒトFUSを過剰発現したショウジョウバエ系統でも同様の現象が見られるのか調査する。これまでの成果を学術論文に取りまとめて、査読性のある国際学術雑誌に投稿する。
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Research Products
(8 results)