2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規同位体手法を用いた開放系としてのサンゴ礁生態系の環境動態に関する研究
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15F15904
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 俊 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (40183892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WYATT ALEXANDER 東京大学, 大気海洋研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-07-29 – 2017-03-31
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Keywords | サンゴ礁 / 同位体解析 / 物質循環 / 沿岸生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガスクロマトグラフィー安定同位体比質量分析計や加速器質量分析計を用いた先端的な同位体分析手法(アミノ酸同位体測定、放射性炭素測定)を用いた、サンゴ礁の物質動態の評価手法についての方法的な検討を進めた。この検討結果を踏まえ、島嶼スケールで生ずる内部波の動態把握とそれに伴う栄養塩フラックスを明らかにする目的で、平成27年10月5日~7日にかけて沖縄県西表島舟浮湾において、栄養塩類、粒子状有機物、溶存有機物および溶存態無機炭素の濃度や同位体比を測定するためのトランセクト観測を実施した。また、内部波の影響を受けやすいと考えられる、中光層のサンゴや生物相の分布状況や同位体比を調べるための潜水調査を実施した。なお、この調査は、内部波が沿岸生態系に及ぼす影響についての国際的な専門家であるカリフォルニア大学スクリップス海洋研究所のJames Leichter教授との国際共同研究として実施した。以上の調査で得られたサンプルの分析を進め、得られたデータをもとに、サンゴ礁と外洋の物質交換についての予備的な概念モデルを構築した。また、研究内容についての情報収集と意見交換を行うために、東京工業大学、琉球大学、沖縄科学技術大学院大学の関連研究者とのミーティングを行った。これらの活動を通して、海洋学的プロセス(海流の状況、内部波)とサンゴ礁の栄養循環の関係を解明するうえで不可欠な、継続的な生態学調査を実施するための基盤整備が進められ、今後の研究を実施していくうえでの基礎が築かれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
沖縄県西表島における調査を予定通り実施し、得られたサンプルの分析もおおむね順調に進展している。また、継続的な生態学調査を実施するための基盤整備も計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画のとおり、平成27年度に検討を行った分析方法を用い、調査海域における海洋学的および生態学的な調査を実施するとともに、データの解析を進め、内部波がサンゴ礁生態系に及ぼす影響についての理解を深化させる。また、大型魚類の餌資源利用についての同位体解析を進める。以上の結果を総合的に解析し、開放系としてのサンゴ礁の機能や維持機構に関する考察を深め、その成果を国内外の学会で発表するとともに、論文作成を進める。
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Research Products
(3 results)