2006 Fiscal Year Annual Research Report
時空間における分子振動計測の極限化:分子から細胞まで物質組織化機構の解明に向けて
Project/Area Number |
15GS0204
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱口 宏夫 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (00092297)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩澤 康裕 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40018015)
岩田 耕一 東京大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (90232678)
佐藤 伸 東京大学, 大学院経済学研究科, 助手 (60313201)
加納 英明 東京大学, 大学院経済学研究科, 助手 (70334240)
田原 太平 東京大学, 理化学研究所, 主任研究員 (60217164)
|
Keywords | 時間分解分光 / 空間分解分光 / 時空間分解分光 / ラマン分光 / 非線形ラマン分光 / 顕微分光 / 酵母生細胞 / 呼吸欠損株 |
Research Abstract |
フェムト秒時間分解近赤外分光により、種々の粒径のTiO_2微粒子の超高速キャリアーダイナミクスを調べた。電子と正孔の再結合時間が粒径に強く依存する結果を得た。フェムト秒時間分解赤外分光により、溶液中のW(CO)_6分子の超高速振動冷却ダイナミクスを調べた。直鎖アルカン溶媒中では、振動冷却速度が鎖長に対してV字型の特異的依存性を示す結果を得た。ピコ秒時間分解ラマン分光により、イオン液体中で光励起されたtrans-スチルベン分子の振動冷却過程を観測した。通常の分子液体中では、冷却速度と巨視的な熱拡散定数との間に高い相関が見られるが、イオン液体中ではこのような相関は見られなかった。この結果は、熱の拡散が単純な拡散方程式に従わないことを意味し、イオン液体の構造が均一でなく局所構造が存在することを示唆する。ピコ秒時間分解蛍光分光により、種々のイオン液体中の2一アミノキノリン分子の蛍光スペクトル、蛍光寿命、異方性減衰を測定した。2-アミノキノリン分子が、芳香族性イオン液体中で異常に遅い異方性減衰を示すことを見出し、局所構造形成と関連付けて議論した。ナノ秒時間分解赤外分光により、アセトフェノンとその誘導体分子の三重項-三重項近赤外吸収を観測した。光水素引き抜き反応速度の置換基依存性と最低励起三重項状態の電子構造の関係について、従来の定説を覆す結果を得た。フェムト秒顕微CARS分光システムの開発をさらに推進し、酵母以外の多種の生細胞の分子レベルイメージ測定に成功した。共焦点顕微ラマン分光により、出芽酵母4倍体の呼吸欠損株では、光照射により"生命のラマン分光指標"の強度が減少し、最終的に消滅すること、また照射を中止すると復活することを見出した。この結果は、"生命のラマン分光指標"を与える分子種が、ミトコンドリアの代謝サイクル中の反応中間体であることを強く示唆する。
|
Research Products
(12 results)