2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミューオン物理学の新展開を狙うスーパー・ミューオン・ビームの研究
Project/Area Number |
15GS0211
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久野 良孝 大阪大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30170020)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能町 正治 大阪大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90208299)
中野 貴志 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80212091)
青木 正治 大阪大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80290849)
菅谷 頼仁 大阪大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80324747)
二宮 史郎 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (80304062)
|
Keywords | ミューオン / 位相空間回転 / ビーム冷却 / 高周波加速空洞 / ミューオン蓄積リング / 3次元コードTOSCA / 異法性中間磁極 / トリムコイル |
Research Abstract |
本研究では、ミューオンビームの高輝度化技術を確立し、新世代のスーパーミューオンビームを開発することを目的としている。高輝度化技術としては、ミューオンの運動量を揃える位相空間回転技術と、ミューオンビームのエミッタンス(広がり)を小さくするビーム冷却技術があり、特に、位相空間回転を第1候補として検討している。ここで、位相空間回転技術というのは、高周波加速電場を使って運動エネルギーの高いミューオンを減速し、かつ運動エネルギーの低いミューオンを加速して、ビームのエネルギーを揃える技術である。位相空間回転をするためには、高周波加速空胴をリング状に並べた方式を検討している。検討課題の一つは、もともと広がったミューオンビームを蓄積できる加速器リングを建設できるかということである。 平成16年度は、ミューオンを蓄積するためのリングの電磁石の設計を行った。3次元コードTOSCAを使って、磁場計算をした。我々の考えているリングは、固定磁場で磁場勾配の非常に強い電磁石から成る。ひとつのラティスは、収束方向(F)と2つの反収束方向(D)の双極電磁石から構成される(DFD構造)。また、電磁石のパラメーターを決定するために、ミューオン粒子のリング内の軌道解析を、GEANT4を使って行った。軌道解析に必要な条件は、ミューオンビームのアクセプタンスが大きいこと、高輝度化に必要な位相空間回転の効率が良いこと、ビームが安定であること、などである。そのために必要なベータトロン振動の振動数(チューン)を決定した。そのチューンを再現するようなリングのラティス数、ラティス構造、磁石の磁場などを決定した。さらに、磁場勾配を変化できるように、異方性中間磁極やトリムコイルを検討し、最終的にトリムコイルの採用を決定した。さらに、電磁石のコイルの形状、線材を決定し、すべてのDコイルと数台のFコイルの製作を行った。
|