2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15GS0310
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 和俊 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (70182194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 昌之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50212254)
佐藤 隆史 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (70344934)
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Keywords | 小胞体 / 膜結合性転写因子 / ゴルジ装置 / プロテオリシス / ノックアウトマウス / 胚性線維芽細胞 / 分子シャペロン / プロテアーゼ |
Research Abstract |
ATF6は、小胞体の機能と制御に重要な役割を果たす小胞体膜結合性転写因子である。小胞体内に高次構造の異常なタンパク質が蓄積する小胞体ストレス下では、ATF6はゴルジ装置へと運ばれ、S1PならびにS2Pと呼ばれるプロテアーゼにより切断されて活性型転写因子であるN末端断片が遊離する。ATF6にはαとβの2種が存在する。そこでATF6αとATF6βのノックアウトマウスを作成し、解析した。 両ノックアウトマウスはメンデル比に従って生まれてくることから、発生に必須ではないことが明らかになった。そこで、胚性線維芽細胞を採取して、細部レベルで小胞体ストレス応答への影響を解析した。 小胞体ストレスに応答した小胞体シャペロンの転写誘導はシス配列ERSEによって媒介される。ERSEを介した転写活性化が野生型細胞では正常に見られるのに対し、ATF6αノックアウト細胞では、ほとんど起こらなかった。これに対応して、野生型細胞で見られるBiP、GRP94、ERp72などの小胞体シャペロンの転写誘導がATF6αノックアウト細胞では大きく低下していた。一方、ATF6βノックアウト細胞ではERSEを介した転写活性化も種々の小胞体シャペロンの転写誘導も、野生型細胞の場合とほとんど変わらなかった。これらの結果から、ATF6αが小胞体シャペロンの主要な制御因子であると結論した。 Crystal Violetアッセイにより、ATF6αノックアウト細胞は小胞体ストレス下急速に生存率を低下させることがわかった。ATF6βノックアウト細胞は若干小胞体ストレスに感受性となった。これらの結果は、ATF6を介した小胞体シャペロンの転写誘導が細胞を小胞体ストレスから守るために重要であることを示している。
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Research Products
(3 results)