2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞エネルギー・代謝ネットワークを制御する分子マシナリー
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15GS0320
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00127276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 敏文 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10197048)
栗栖 源嗣 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90294131)
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Keywords | 光合成 / X線結晶解析 / マススペクトロメトリー / 電子伝達複合体 / NMR / フェレドキシン / フェレドキシン:NADP還元酵素 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究は、葉緑体内での電子分配を司る分子マシナリーの全容を明らかにし、フェレドキシン(Fd)を要とした電子伝達の流れを統合的に解明しようとするものである。本年度はNMRとX線結晶構造解析を中心にして、以下の知見を得た。 1)電子の大きな流れにはFd : NADPH還元酵素(FNR)が寄与すると考えられる。トウモロコシ葉緑体には3種類のFNR分子種が存在し、それらは葉緑体内のチラコイド膜に局在、可溶性画分のストロマに局在、これら両方に分布するものに明確に区別でき、プロテーム解析で遺伝子情報との対応を明確にした。 2)溶液状態でのFdとFd依存性酵素群との蛋白質相互作用をNMR分光法で解析する実験系を新たに立ち上げた。FNRや亜流酸還元酵素(SiR)に加え、硝酸還元系で働く亜硝酸還元酵素とアンモニア同化系で働くグルタミン酸合成酵素についても新規の情報を得た。Fdの相互作用領域は鉄硫黄クラスター側の分子表面である点は酵素全般に共通であるが、相互作用残基は酵素毎に特有であることが判明した。 3)SiR単体及びFdとの電子伝達複合体の構造解析を行った。L-FNR : FdIの構造はすでに報告しているが、L-FNRとSiRは、FdIとの複合体形成にはそれぞれ特有の構造を認識していること、これら2種の複合体では酸化還元中心間の距離は6Å-12Åとなり、電子の授受が直接行なわれることが予想出来た。 これらのことをまとめると、Fdの電子キャリアーとしての多機能性は、多くの酵素との分子間相互作用に必要な領域を分子表面にかなり広く備えていることにより発揮され、各酵素はそのFd領域の一部を活用して効率の良い分子間電子移動の複合体を形成している。そのための構造を酵素側も保持していると考えられる。
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Research Products
(7 results)