2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞エネルギー・代謝ネットワークを制御する分子マシナリー
Project/Area Number |
15GS0320
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 Osaka University, 蛋白質研究所, 教授 (00127276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 敏文 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10197048)
栗栖 源嗣 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (90294131)
大澤 研二 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50203758)
池上 貴久 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (20283939)
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Keywords | 植物 / 蛋白質 / 構造生物学 / プロテオーム |
Research Abstract |
植物の光合成で生じる強い還元力は、電子キャリアー蛋白質であるフェレドキシン(Fd)を電子供与体とするエネルギー・代謝ネットワークに供給される。この物質同化の特性を還元力の分配機構という切り口から、本年度は物質科学と生理学の両方の観点から研究に取り組んできた。これまでの知見を以下にまとめる。 (a)Fdは多くの酵素との分子間相互作用領域を分子表面に広く備えており、一方、Fd:NADPH酸化還元酵素(FNR)、亜硫酸還元酵素(SiR)等の各酵素はそのFd領域の一部を利用して複合体を形成しているごとが、X線結晶解析、NMR解析、生化学的解析から明らかになった(b)FdとFNRの人工的架橋分子を多数作製し、2分子のトポロジーと分子間電子伝達の関係を明らかにした。蛍光ラベルしたFdとFNRの架橋タンパク質複合体でFRETが生じた(c)葉緑体内でのFd濃度は数十μMから100μMである。電子伝達のパートナーとなる酵素の総量はFdと同程度かそれ以上であると見積もられる。したがって、生理的条件ではFdが過剰量存在するのではなく、各々の酵素が電子キャリアーをめぐって競争関係にあることが分かった。(d)FdとFNRをノックアウトやノックダウンした変異体植物をシロイヌナズナを材料にして選別した。その植物体の表現型とその生理学的解析より、同化能力とタンパク質の機能を個体レベルで明らかにできる実験系を得た。(e)グルタミン合成酵素(GS)は窒素同化の代謝ネットワーク内に位置する酵素であり、アンモニアをアミノ酸へ変換する。本酵素は基質誘導体である除草剤であるPTT等により阻害されるが、PTTとの複合体構造を得ており、除草剤耐性のGSの分子デザインを可能にした。このような農薬耐性酵素の農業利用への応用は重要である。
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Research Products
(14 results)