2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H00004
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Research Institution | 東京工芸大学 |
Principal Investigator |
國本 学史 東京工芸大学, 大学非常勤講師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 色材 / 色彩論 / 色彩教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 本研究では、絵具・工芸の色材と工業の色材との関係に着目し、日本近代期の色材・色名の変遷と歴史的変容を明らかにすることを企図した。近代以降に行われた国内での合成顔料・染料の展開と発展については不確かな点が多いが、その背景として工業的に色材が変容したことが大きな要因であるが、さらに関連して、色彩論受容や当該教育体制の発展が、工業製品としての絵の具の登場と理解を助長した点を明確に整理する。 ○研究方法 色材変容の原因として、近代日本に将来された水彩・油彩技法があり、その影響で伝統的日本画、工芸制作においても色材が変容していることに着目した。よって、表現技法の変容に関する資料研究を行った。当該事実を裏付ける傍証収集のため、近代期から現代まで絵具を製造・販売している店舗に取材し、聞き取り調査を行った。関連して、色彩論の受容と理解と色彩教育に着目し、同時代的な資料収集に努めた。 ○研究成果 調査研究によって得られた知見の一部、日本の近世以前からの色彩と近代における色材の変容については、AIC2015 Tokyo(Association Internationale de la Couleur)において、”Changes of Colors names and Coloring Materials in Japan"としてポスター発表を行った。また、同会議(AIC2015 Tokyo)の"The Meeting of The Study Group on The Language of Colour"において、当該内容についての口頭発表を招待講演として依頼され、別途口頭でも研究発表を行った。 さらに、日本における近代的な色材発展とその展開の背景としてある、色彩論受容と色彩教育についてまとめ、第47回日本色彩学会全国大会において「日本における色彩論受容の萌芽」として口頭発表を行う。また、雑誌『小原流挿花』5月号の「日本の青」特集の巻頭に、近世以前から近代以降における絵画・工芸における色材の変化についての知見の一部を、「青の歴史をたどる」として論考を寄稿している。
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