2015 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代における海蝕洞穴遺跡の機能と集落との関係に関する考古学的研究
Project/Area Number |
15H00038
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
白石 哲也 清泉女子大学, 情報環境センター, 大学職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 弥生時代 / 海蝕洞穴遺跡 / 考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海蝕洞穴遺跡の機能の問題と集落との関係を明らかにするための調査研究を行った。その際に、研究フィールドとして、今回は海蝕洞穴遺跡が多数分布する神奈川県三浦半島を調査対象に定めた。まず調査を実施するにあたり、海蝕洞穴遺跡と集落との年代値を整備することにした。その際に、これまで三浦半島で測定された弥生時代の炭素14年代測定値を集成し、それら既存データに対して新しい較正曲線Intcal13とMarine13で再較正を実施した。結果として、より正確性の高い数値を提示することができたと考えられる。特に、Marine 13に関しては有益な成果を得ることができた。次に、三浦半島の海蝕洞穴遺跡及び弥生集落から出土した遺物(土器・石器・その他)の悉皆的な集計を行った。集計の結果、海蝕洞穴遺跡では洞穴ごとに出土遺物比率が異なり、洞穴によって利用機能が異なることが示唆された。また、海蝕洞穴遺跡と弥生集落の関係性について、生業面から検討を行うため、三浦市において同市赤坂遺跡や海蝕洞穴遺跡の甕形土器の内面付着炭化物について採取調査を3回ほど実施した。しかし、採取できたのは赤坂遺跡出土の甕形土器3点のみであった。そのため、海蝕洞穴遺跡においては測定を行うことはできなかった。ただし、採取した3点ついては炭素窒素安定同位体測定を行ったところ、主にC_3植物あるいは草食動物に由来する炭化物と推定された。当初の目的は果たせなかったが、測定結果から少なくとも弥生集落においては、稲作農耕が行われていたことが示唆された。今後、測定試料を増やしてくことで、より詳細な分析を実施していくことにしたい。
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Research Products
(3 results)