Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 養護教員が自律的に他教員等の関係者間と協力体制を構築することが, その専門性を発揮するための土台となり, 児童生徒を支援する上で特に近年重視されている背景から、本研究では, 養護教員が協力体制を構築すること目標とし、以下の目的を設定した。 当初の目的は, 連携自律的動機づけ尺度の因子的妥当性および信頼性の再確認, 務上の悩みに対する対処行動を測定する尺度の開発, 職務上の悩みに関する尺度の因子的妥当性および信頼性の再確認すること。さらに上記尺度間の関係を検討することであった。 しかし今回, 時間的制約から上記目的は達成できなかったものの, 他教員と協力体制を構築するという目標に関連して, 他教員の客観的視点から, 養護教諭の具体的な職務上の悩みをどう捉えているか, またそれが養護教諭の抱く職務上の悩みとどのように関連するかを明らかにすることを目的に検討を行った。 研究方法 : 小中高, および中高一貫校の養護教諭および養護教諭以外の他教員(管理職, 担任, 音楽や美術などの特別科目教員)の, 機縁法により依頼した38名を対象とした。2015年10月および2016年12月の2回調査を行った。質問の教示文は「養護の先生だからこその悩みや, 困ってしまう場面はどのようなことだと思われますか」に対し, 自由記述で回答を求めた。フェイスシートは, 校種, 設置主体, 立場等について該当項目を選択してもらった。分析は意味のある文章ごとに類似性からカテゴリー化し, コレスポンデンス分析を行った。 研究成果 : 職務上の悩みは18カテゴリーに分類され, 担任, 教科担当教員, 管理職, 養護教諭の4グループでコレスポンデンス分析を行った。2つの次元は, 職務上の悩みの専門性の次元と, 悩みの原因となる生徒や保護者, 教員といった対象者のレベルで構成され, 各グループの特徴は異なった。この結果は, 養護教諭と担任で悩みの認識が異なることを示唆し, 養護教諭が特に悩んでいる教員との関係性の因子は, 担任は認識していなかった。 821
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