2015 Fiscal Year Annual Research Report
集団式潜在連想テストを用いた中学生の「偽自分嫌い」の検出と教育実践への活用
Project/Area Number |
15H00061
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Research Institution | 長野市立犀陵中学校 |
Principal Investigator |
内田 昭利 長野市立犀陵中学校, 教員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 集団式潜在連想テスト / 偽自分嫌い / 偽装 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らが潜在意識測定方法として開発した「集団式潜在連想テスト」(Mori, Uchida & Imada, 2008)を活用した先行研究から、「数学」に対する潜在意識と自己報告型アンケートによる意識調査の結果が異なる「偽数学嫌い」の生徒が20%以上も存在し、これらの生徒への働きかけで成績が改善することが報告されている(CogSci2014)。そこで、本研究では集団式潜在連想テストと自己報告型アンケートを併用することで、「偽自分嫌い」の生徒を検出し、教育実践への方策を新たな視点から探ることを目的とした。 中学1年生213名(男子103名、女子110名)に、「自分」に関する集団式潜在連想テスト及びアンケート調査を実施した。検出及び分析方法は、「偽数学嫌い」に関する先行研究と同様に行った。また、比較対象のために「学校」に関する調査も同時に行った。 調査の結果、「自分」に対する肯定的な潜在意識を持ちながら、アンケート調査では「自分が嫌い」と回答を「偽装」した生徒が55名(男子25名、女子30名)いた。4人に1人は「自分嫌い」を「偽装」しているのである。同時に実施した「学校」に対する調査では、23名(男子14名、女子9名)が「学校嫌い」を「偽装」していた。2群の母比率の差の検定を行ったところ、「偽自分嫌い」生徒の比率(25.8%)が「偽学校嫌い」生徒の比率(10.8%)よりも有意に高くなった(検定量3.7404, p=0.0002)。また、同様の手法で検出した「偽数学嫌い」の生徒(512名中103名)と比較しても、「偽自分嫌い」生徒の比率が、「偽数学嫌い」生徒の比率(20.1%)よりも高い傾向がみられた(検定量1.6947, p=0.0901)。 「偽数学嫌い」の生徒は、偽装していない生徒よりも数学の成績が良くないことから、テスト成績が良くない理由のために「数学嫌い」を「偽装」していると考えられた(内田・守, 2015)。今後の課題として、「自分嫌い」を「偽装」する要因について、成績などの諸要因との関係を明らかにすることで、新たな教育方法の可能性を探りたい。
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Research Products
(2 results)