2015 Fiscal Year Annual Research Report
~作る・描く・見る~総合的な絵画表現の教材化の研究
Project/Area Number |
15H00109
|
Research Institution | 千葉県立幕張総合高等学校 |
Principal Investigator |
斉藤 望 千葉県立幕張総合高等学校, 教員
|
Project Period (FY) |
2015 – 2016
|
Keywords | 黄金テンペラ / 初期ルネサンス絵画 / 絵画制作指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、高等学校美術における絵画制作の指導においては、何をどう描くかという「表現」について多く語られてきた。しかし、本研究では、絵画制作を「表現」だけではなく、学習者の様々な活動を総合した学習活動の視点からと捉えることとした。黄金テンペラの制作を通して、作品の支持体とテンペラ絵具の自作を「作る」、描画の実際を「描く」、箔を用いた絵画表現や初期ルネサンス絵画の作品研究などを「見る」と位置付けた。黄金テンペラ制作を「作る」・「描く」・「見る」を総合した学習として教材化に取り組んだ。 研究の方法として、実際の授業(2年生、4単位)での指導を毎時、画像及び動画で記録した。制作の微妙なニュアンスを視覚化し伝えることにした。どの教師でも自分の美術室で指導が可能になることを目指した。授業開始にあたり、生徒の知識理解を測るためにアンケート調査を行った。制作のポイントなる場面(支持体制作、テンペラ絵具扱い、箔や用具の扱いなど)では、黄金テンペラの専門家である東京芸術大学保存修復研究室の木島隆康先生に指導助言を仰ぎ、制作の妥当性を担保した。 4月から一年間わたる授業での制作は、絵画表現の豊かさを実感できる満足のいくものとなった。この黄金テンペラの制作を様々な学校で展開する際には、生徒の実態や年間の授業時間に応じ、制作過程をアレンジすることで対応可能なことが明らかになった。具体的には、装飾の簡略化・卵黄テンペラによらない他の絵具の代用などである。しかし、卵黄テンペラの美しい発色とマチエールは何ものにも代え難い。授業時間が許す限り描画に多くの時間を取りたい。 また、3月には完成した生徒作品を研究成果発表展で発表した。その際、制作過程の要旨をまとめた冊子を作成し、関係者及び観覧者に配布した。 美術科教育学会誌「美術教育39号」に成果報告を投稿した。
|
Research Products
(2 results)