2015 Fiscal Year Annual Research Report
「道徳の教科化」に対応した高等学校における道徳教育カリキュラムの研究開発
Project/Area Number |
15H00112
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鮫島 京一 奈良女子大学, 附属中等教育学校, 教員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 道徳性の涵養 / 人間理解リテラシー / 省察力 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は高等学校における道徳教育の年間カリキュラムを研究開発することである。具体的には、学校設定科目「コロキウム」(高2、選択必修、2単位)において、道徳性の涵養を目的とする年間カリキュラムを研究開発、実施し、その教育効果を評価した。 カリキュラム設計にあたって、道徳性の涵養するためには、二つのコンピテンシーの形成が重要であると考えた。「人間理解リテラシー」(人間を理解する力や想像力)と「省察力」(経験したことの持つ意味を吟味し、本質的な問題を取り出す力)である。この二つを身につけるために、カリキュラムの前半は、ドキュメンタリー作品の視聴と対話に基づくアクティヴ・ラーニングである。①作品を視聴し、感じ考えたことをレポートにする。②制作者(在阪のテレビ局員)との対話、③学習活動を振り返り、感じ考えたことをレポートにする、という構成である。後半は、プロジェクト・ベース・ラーニングである。「つくる人」をテーマとする映像作品を制作した。企画書を書き、取材を行い、映像作品にまとめ、作品発表会を行った。制作過程で直面する具体的問題との格闘を通じて道徳性を磨き上げる学習活動である。カリキュラム評価については、臨床教育学のナラティヴ分析の手法を採用し、学習当事者の「語り」やレポート、各単元の「自己評価」を注意深く吟味した。 研究成果は「道徳の教科化」について三つの基本的視点を得たことである。第一に、自己中心的な言動や行動の背後には、人間存在そのものへの切実な問いがある(道徳教育の存立基盤)。第二に、道徳性を涵養するために用いる教材は、人間のすばらしさや美しさのみならず、醜さ、愚かさ、残虐さといった悪の部分を含めたものでなくてはならない(ドキュメンタリー作品の有効性)。第三に、道徳性の涵養は、学んだことが、具体的な問題に直面したときに、学び直されるなかですすむ(学習指導の在り方)。
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