2015 Fiscal Year Annual Research Report
『源氏物語玉の小櫛』を教材として古典に近づけ親しませる授業の研究
Project/Area Number |
15H00117
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Research Institution | 希望学園北嶺中学校・高等学校 |
Principal Investigator |
菅原 利晃 希望学園北嶺中学校・高等学校, 教員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 『源氏物語玉の小櫛』 / 古典に親しむ / 古典教育の意義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、本居宣長の評論である『源氏物語玉の小櫛』を教材とし、生徒を古典に親しませる授業について研究することにある。特に、『源氏物語玉の小櫛』「人の心の感ずること」の評論について、本研究では、実際に独自の授業の開発を行い、さらに生徒にとって古典を考えさせる教材となるように考究した。本文で述べられている恋に関して自分の考えをまとめ、文章に表現することを学習目標としたが、その際に、具体的にどのような恋愛の例があるかを、現代のわれわれの世界に照らし合わせて考えさせた。学習者の考察の材料としては、1百人一首、2現代の和歌、Jポップ、3夏目漱石「こころ」から、該当する歌や歌詞、場面などを中心にまとめるように設定した。これらから、よりいっそう古典に自分を近づけ、それを自分の生活やいままでの学習に生かし、照らし合わせて考えることができた。様々な題材をもとに、古典に自分を親しみ近づけることができたのである。 「古典に親しむ」学習指導として、評論『源氏物語玉の小櫛』による生徒の古典に対する意識の喚起ということが本研究の検証事項である。具体的には、授業の教材および展開の研究、ワークシートの開発、生徒の感想や意見の分析を詳細に行った。授業を通して、古典と現代との接点を発見し、生徒の古典への意識の発掘、向上が見られたので、授業者・研究代表者としては大いに効果があったものと考える。生徒が古典から自分なりの意見や評価をもつことができ、古典を読むことによって自分の考えを豊かにすることができたことが、本研究で到達された目標である。古典に近づき親しませることを見据えた上での、古典の世界の先人の生き方の発見と共感、いわば古典を自分のものとして消化し現在の自己の生活とのつながりをいかに体感させるかということに、本研究における古典教育の普遍性・意義があったと考える。
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Research Products
(2 results)