2015 Fiscal Year Annual Research Report
認知科学理論に基づいた相補的な日本画学習の内観記録型ITC活用教育法の実践的開発
Project/Area Number |
15H00119
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Research Institution | 埼玉県立芸術総合高等学校 |
Principal Investigator |
関口 浩 埼玉県立芸術総合高等学校, 教員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 認知科学理論 / 相補的学習法 / ITC活用教育法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 研究の目的 本研究は、日本画教育における鑑賞教育と実技演習の両面において、その学びの可視化を試みるものである。これまで一斉的な授業形態から、積極的に他者と交わる「相補的な日本画学習法」の開発に取り組み、学びの成果を検証してきたが、「知識・技能」といった論理的な科学的知見と比べ、非論理的な芸術的感覚としての「感性・表現」の働きや、複層的な両者の関連性についての指導観の解明は未開発な部分が多かった。そこで「知識・技能」と「感性・表現」の複層的な働きや関連性を外部記録し、学習者の内観記録から「記銘・保持・検索」がどのように行われ、「新たな発想や自己の行動変容」にどうつながったのか、理想的な学びの発動を検証するための内観記録型ITC活用教育法教材を開発し、試行授業を実践することを目的とする。 2 研究の方法 本研究を実施する場所は勤務校(専門学科 : 美術科)の日本画専攻授業とし、日本画の鑑賞教育と実技演習「知識・技能」の習得と「感性・表現」の膨らみを相関しながら単元別・時系列毎に内観記録する。開発教材により試行授業を実践し、学習者の「個」の内観記録(WS・端末入力・音声入力等)から「知識・技能」と「感性・表現」がどのようなスパイラルを描き、「記銘・保持・検索」がどの環境要素で最も両者が関連づけられて学習者の学習行為が進み、自己のより望ましい行動変容につながっていくのかを考察する。 3 研究の成果 学習者の「学び」をタブレット端末や学び可視化シート等を使用して、各学習過程の「記銘・保持・検索」を明らかにし、自己の行動変容がどこで発動し、長期記憶に留まったのかを検証した。その結果、映像情報を見る等の仮想活動で、ある程度の学習効果を確認できたものの、やがて忘却していく結果となった。最も注目すべきは、自らが体感したことを「他者に教授する」ことで、両者の相関性が強く、「個」のエピソード記憶とともに学習内容が教授者にも記銘・保持づけられる傾向が高い理想的な「学びの記憶」につながった。
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Research Products
(1 results)