2015 Fiscal Year Annual Research Report
文学作品における「熟考・評価」の力を高める評価テストの開発
Project/Area Number |
15H00129
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Research Institution | 広島県東広島市立三永小学校 |
Principal Investigator |
細 恵子 広島県東広島市立三永小学校, 小学校教諭
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 熟考・評価 / 評価基準 / 比べ読み |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国語科教育において、小学校の読書活動での読む力のうち、「熟考・評価」の力について分析し、その力を高めるための評価テストを開発することである。 1 研究の内容 (1)感想の調査と分析 子どもの読みの反応についての先行研究を基に、小学校3年生と6年生を対象とし、『泣いた赤おに』(浜田廣介作)を結末が対照的な『お手紙』(アーノルド・ローベル作)と比べ読みさせ、類似点・相違点と好きなテクストの理由の書き方、『泣いた赤おに』の登場人物、人物関係に対する感想の変容について分析した。 (2)比べ読みの実践 小学校3年生を対象とし、教科書教材『サーカスのライオン』と『やさしいライオン』(やなせたかし作)とを比べ読みさせ、「熟考・評価」の力を高めるための評価基準を作成し、評価の改善を図った。 (3)「熟考・評価」の力を高める評価テストの開発 『おにたのぼうし』(あまんきみこ作)について、作品の結末に対する評価、自分や他の本との比較、自分の在り方等について考えることを評価するテストを作成し、実施した。 2 研究の意義 (1)3年生と6年生の比べ読みによる感想の分析結果により、評価基準作成の重要な手がかりをつかみ、今後の比べ読みの指導と評価の可能性を示すことができる。 (2)比べ読みの実践を通して改善した評価基準は、文学作品を読むレベル、自分や他の本と関連付けるレベル、自分の生活や他の場面で応用するレベルを質的に評価することができるものである。これにより、従来区別されてきた国語科教科書の授業の「読解」と「読書」を統合し、読書で読解の指導と評価が可能となる。 (3)調査、実践を基に開発したテストは、情報の取り出しを中心とする市販のテストでは評価されない「熟考・評価」の力を評価することができるものであり、児童の読む力を多角的に評価できるという点で重要である。
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Research Products
(2 results)