2015 Fiscal Year Annual Research Report
視線計測用アイカメラを用いた肢体不自由児の眼球運動の定量的評価に関する研究
Project/Area Number |
15H00262
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松浦 孝明 筑波大学, 附属桐が丘特別支援学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 肢体不自由児 / 眼球運動 / 視機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 肢体不自由児の眼球運動を視線計測用アイカメラにより計測して定量的に評価することで、眼球運動にどのような特徴を有するか明らかにするとともに、併せて姿勢の変化や身体の運動が見る力にどのように影響するかを明らかにすることを目的とした。 ○研究方法 【研究1】視線計測用アイカメラを使用し、頭部を固定した状態で脳性まひ児を主とする肢体不自由児の固視、滑動性眼球運動(以下パシュート)、衝動性眼球運動(以下サッカード)の基礎的能力を定量的に分析した。 【研究2】歩行および走行時の移動場面とボールを使用した運場場面の眼球運動の計測と、併せてモーションセンサーを使用して頭部の加速度や角速度データを計測した。眼球運動データとモーションセンサーによるデータの相関を調べ、眼球運動と身体運動との関連を検討した。 ○研究成果 頭部を固定した眼球運動において、脳性まひ児は二分脊椎児に対して視線のばらつきが見られ、眼球運動に不随意な運動が大きいことが明らかになった。脳性まひ児は、固視では正中線より左右にある視標で不安定になること、左眼と右眼の左右差が大きくなる傾向が認められた。パシュートでは、視線の停留とサッカードの繰り返し、眼の左右差がみられた。サッカードでは、視線移動の潜時と視線移動時間の延長、不随意な眼球運動、眼の左右差が認められた。 車いす移動時はスピードが上昇するほど頭部の動揺も大きくなる。視線のばらつきも歩行時に比べて走行時が大きくなることから、視線が車いす駆動に影響を受けていることが明らかになった。特に、脳性まひ児は二分脊椎児に比してこの傾向が顕著に現れた。また、脳性まひ児は振り子状に揺れるボールやバウンドするボールのパシュートで視線の停留とサッカードの繰り返しやオーバーシュートが認められ、ボールの動きに対するパシュートが困難であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)