2015 Fiscal Year Annual Research Report
高性能カーボン治具の開発と高透過性ガラスセル作製法の確立
Project/Area Number |
15H00297
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 拓也 東北大学, 多元物質科学研究所, 技術職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | ガラス加工 / 成形治具 / ガラスセル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 石英ガラスおよびパイレックスガラス製の角型ガラスセルの製作にあたり、成形に使用する「カーボン治具(成形型)」の材料選定や表面の研磨、不活性雰囲気中で加工を行うことで、燃焼に伴う酸化反応の抑制と劣化や消耗の低減を図る。これにより従来の方法で課題であったガラスセル表面の筋や気泡、昇華したカーボンの付着、形状や寸法の再現性が低い問題を解消して、高透過性のガラスセルを作ることを目的とする。 研究方法 純度や密度、硬さ、熱伝導率など特性の異なるグラファイト材のサンプルを同じ条件下で燃焼させて、燃焼後の重さや表面の状態を比較し、高温でも劣化や消耗の少ない材料を選び、治具の製作を行った。治具表面を研磨し表面積を小さくすること、ガラスの溶融加工中に窒素ガスを注入することで酸化反応の抑制を図った。成形はワイヤーを取り付けた治具をガラス管内に入れ、溶融させながら一定の荷重で引くことで治具の形状に成形する引抜き法で行った。 研究成果 燃焼テストやガラスの溶融加工を行った結果、グラファイト材は不純物が少ない純度の高いものを使用すること、治具の表面は#4000程度のペーパーで水砥ぎ研磨にて仕上げ、おおよその鏡面にする。溶融加工中は窒素ガスを常時注入することで、従来よりも酸化反応を抑制し劣化や消耗、形状の変化を少なくすることが可能となった。これにより加工したガラス表面にはカーボンの付着は見られず良好な状態となったうえ、治具を繰り返し使用しても、求められる寸法や形状を保つため生産性、効率性の向上に繋がった。また高温に耐えうる優れたグラファイト材はガラスセル以外のガラス加工の治具としても活用が期待できる。 引抜き法で成形したガラスの透過性や直進性は板ガラスのように高くないため、光学実験等で利用するには成形後に研磨が必要となる。
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