2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H00316
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Research Institution | 気象庁気象大学校 |
Principal Investigator |
大竹 和生 気象庁気象大学校, 准教授
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 地鳴り / 地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は“地震”と“地震に伴う地鳴り”との関係を科学的に解明することである。古来より、地震動に伴って地鳴りを感じたという記録は多数見受けられる。しかし地鳴りの成因は明らかでなく、地震波形のデジタル記録が行なわれるようになったにもかかわらず地震と地鳴りの同時記録が実施された報告は知られていない。本研究では、まず音波(地鳴り)と地震動とを同時にかつ同期して記録するシステムを構築し、観測によって得られた地鳴りを分類して地震との対応を整理し、将来的にはその成因を解明するためのモデルの提案を目指す。 従来の地震観測記録ではそのサンプリング周波数は100Hz前後とすることが多く、最高20kHz程度である可聴域音波を記録するには不十分である。実際、地震波と音波を同時に収録するような製品は市販されていない。本研究では地震波形と音波の同時・同期記録がその基盤となるため、まずは収録装置の開発を実施した。収録装置はパーソナルコンピュータとA/D変換器・マイク・地震計(ピック)からなり、地震動によってトリガ収録する仕組みを構築した。音声は1チャネルでも地震波形の200倍以上の容量を必要とし、常時収録にはなじまないためである。この収録装置を東京大学地震研究所筑波地震観測所に設置し、観測を開始することができた。 つくば周辺は古くから地鳴りの報告があり、近地で発生する有感地震が多く、地震研究所や防災科学技術研究所など他機関による既存の地震観測網で得られた地震動の記録との比較も容易である。 今後とも観測を継続し、定期的にデータの回収を行なって地鳴りの有無を確認し、既存の地震観測網で得られた地震との同定を行なって地震諸元との比較検討を実施する予定である。
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