2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H00321
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Research Institution | 三重県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
小倉 崇生 三重県警察本部刑事部科学捜査研究所, 刑事部科学捜査研究所, 技官
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 田地走行 / 牽引抵抗 / 速度依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
車両が衝突後に道路外に飛び出す交通事故のうち、田畑に進入して移動するケースについては、車両の挙動が明らかにされていない。そこで、本研究では、車両が田畑に進入して移動する際の挙動を把握することを目的とし、田畑への進入形態及び田畑の土壌状態ごとに実験を行った。 本研究では、田地、砂地及び礫地に対して、田畑を移動するときの乗用車の牽引抵抗を測定する実車実験と土壌を押したときの反力を測定する実験を行った。 実車実験では、各土壌上に置いた乗用車をウインチで前後方向又は横方向に引っ張り、そのときの荷重を荷重計で測定した。前後方向に引っ張る実験においては、タイヤが自由転動する状態とロックした状態で実験した。この実験により、低速度で移動するときの乗用車の牽引抵抗が明らかになった。さらに、タイヤが転動しない場合(ロック状態及び横方向への移動)では、進行方向に対してタイヤが土中に位置する横断面積の大きさと乗用車の牽引抵抗が比例することが明らかになった。 土壌の反力を測定する実験では、貫入式土壌硬度計で土壌を低速で押したときの反力。プッシュプルゲージで土壌を秒速0.5~2.0mで押したときの反力を測定した。その結果、土壌を押す速度が大きいほど土壌の反力が大きくなる傾向があることが明らかになった。 以上より、田畑を移動するときに車両が受ける力について、大きさの程度及び速度依存性があることが明らかになった。 本研究での条件において、田畑への進入形態、移動軌跡及び土壌の状態を事故現場から特定し、並進や回転の加速度を計算することで、田畑に進入して移動する場合の車両の挙動を推定することが可能であると考えられた。また、その車両挙動から、乗員の挙動も推定可能と考えられた。
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