2015 Fiscal Year Annual Research Report
空気圧異常時の車両走行挙動の解明と安全教育への活用
Project/Area Number |
15H00334
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Research Institution | 三重県警察本部 |
Principal Investigator |
戸田 均 三重県警察本部, 刑事部科学捜査研究所, 技官
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 空気圧異常 / 実車走行実験 / 交通安全教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自動車走行中に発生するタイヤバーストの原因にもなるタイヤ空気圧の異常を早期に発見することを目指し、4輪のうち1輪に空気圧異常が発生した場合に車両挙動がどの程度影響を受けるかについて調査した。 実験は、実車を用いて、左前輪または左後輪のいずれかの空気圧を適正の二分の一、三分の一、四分の一と変化させた場合の、定速走行、惰性走行、定常円旋回、急制動を行った。 定速走行、惰性走行といった直進走行において、空気圧の違いによる操舵角や車輪速の顕著な差は確認できず、ハンドルを取られる等の運転への影響についても実験時のドライバーは認識できなかった。 定常円旋回についても、操舵角や車輪速については顕著な差は確認できなかった。しかし、車両のロール角について、空気圧が低下した場合に左右旋回で差がみられ、空気圧が減少したタイヤが外側の状態での旋回時にロール角が大きくなった。一方で、一般ドライバーの認識可能性を検討すると、ロール角は旋回時の速度に依存するため、同程度の走行速度での左右旋回の差を日常の走行で比較することは難しく、日常走行での認識は困難と考えられた。 急制動については、空気圧が減少した場合に減速度にばらつきがみられたが、制動距離の差を認識できるものではないと考えられた。 以上の結果をまとめると、車両異常に特に注意をしていない状態で走行している場合には、空気圧の低下を認識することは極めて困難であると考えられる。ただし、空気圧を大きく減らした場合には外観で確認することが容易であるため、日常点検は空気圧異常の発見に有効である。 なお、本研究において撮影した走行中のタイヤの状態や運転手の操舵状況等については、交通教育センター等へ提供し、交通安全教育の資料として活用する。
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