2015 Fiscal Year Annual Research Report
極低温環境下における異種材料間の接着強度向上に関する研究
Project/Area Number |
15H00344
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 清人 九州工業大学, 戸畑・若松キャンパス技術部, 技術専門職員
|
Project Period (FY) |
2015
|
Keywords | 異種材料接合 / 極低温 / PEEK |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 本研究の目的 液体窒素や液体酸素, 液体水素等の極低温タンクの構造材料は, 一般にアルミニウム合金やステンレス等の金属材料が用いられている. 極低温タンクを軽量化するために, その構造材料を炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の複合材に転換する, いわゆるマルチマテリアル化が検討されている. マルチマテリアル化にあたっては, 異種材料間の接合技術が避けて通れない課題である. 本研究の目的は, 異種材料間の接合部が常温のみならず極低温中でも高い強度で維持されるための接着方法を実験的に検証することである. 2. 実験方法 クライオスタットと呼ばれる極低温槽の装着が可能な万能試験機を用いて, 常温ならびに極低温(液体窒素中)における引張せん断接着強さ試験を実施した. 極低温タンクは, ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂をライナーとして, その外殻にCFRPを積層した複合材タンクを想定し, PEEK/CFRP間の接着性, ならびにPEEK/口金(アルミ合金)間の融着性を評価した. 3. 実験により得られた知見 (1)PEEK/CFRPの接着性 CFRPのマトリックスであるエポキシ樹脂のPEEKへの接着強度は常温でも1MPa未満と低く, またPEEKを表面処理しても接着性はほとんど改善しなかった. PEEK/CFRPの接着性を改善するには, PEEK表面にサンドブラスト等で微小な凹みを付与した後, 極低温用エポキシ接着剤を塗布するのが有効であった. PEEK表面を活性ガス処理することも接着性改善に効果があったが, 極低温中では接着強度が大きく低下する傾向にあった. (2)PEEK/アルミ合金の融着性 アルミ合金の表面に微小な凹みを設けることによってアンカー効果が高まり, 高い融着力が発現することが判明した. また, より高いアンカー効果を発揮させるには, 3次元網目状構造の凹みを付与するのが最も有効であった. なお, PEEK融着では常温よりも極低温中の方が接着強度が高い傾向にあった.
|