2015 Fiscal Year Annual Research Report
高磁場発生試料の性能評価に適した高耐熱高分解能L10(Fe, Co)Pt探針の開発
Project/Area Number |
15H00353
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
江川 元太 秋田大学, 工学資源学研究科, 技術系職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 永久磁石 / 高温環境中磁区構造観察 / 交番磁気力磁気力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、磁性材料は、パソコンのハードディスクドライブをはじめとする様々な情報記録デバイス、ハイブリッド自動車や電気自動車用のモーターを始め、多岐にわたって使用されており、高度情報化社会・低炭素社会の実現に向けて、それらの高性能化が急務である。そのためには、ナノスケール磁場観察の汎用ツールである磁気力顕微鏡(MFM)を用いて、ハードディスク用の微小な磁気記録ヘッドの磁場計測やモーター用の永久磁石の微細磁区構造観察を行うことが有効であり、強い交流磁場中でも磁化反転しないかつ高温環境下においても磁化方向を維持する、磁性探針が必要となる。 本研究では、市販の高保磁力L1_0-FePt探針よりも更に高分解能・高感度・高耐熱を有する探針を作製することを目的とし、Feに対するCo置換量と酸化物の添加量を変化させることで、高保磁力(Hc)・高飽和磁化(Ms)・高キュリー温度(Tc)を有するL1_0-(Fe_<1-x>Co_x)Pt-SiO_2薄膜の作製を試み、それを成膜した探針を用いて、その有効性を検証した。 本研究の主要な結果は以下の通りである。 (1)Feに対するCoの置換量を変化させたL1_0(Fe_<1-x>Co_x)Pt薄膜のMsは、FePt薄膜のそれより大きい。 (2)作製したCoPt薄膜において、測定温度を室温から400℃まで変化させて磁気特性の評価を行った結果、FePt薄膜よりもMsの減少率が低く、高温環境中でも高い値を維持した。また、CoPtにMgOを添加した薄膜における高温環境中での磁気特性評価においても、Msは殆ど減少しなかった。 (3)本CoPt薄膜を成膜した探針を用いて、高温環境中(200℃以上)で永久磁石試料のMFM測定を行ったところ、FePt探針を用いた場合よりも、高い分解能・高い感度で測定することができた。 以上の研究結果から、L1_0-(Fe_<1-x>Co_x)Pt-SiO_2探針は、強磁場を発生する磁気記録ヘッドの磁場計測や高温環境中の永久磁石の磁区観察を、高い分解能・高い感度で測定する事が可能になると考えられ、ヘッド素子やモーターの研究開発に有用となると期待できる。
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Research Products
(1 results)