2015 Fiscal Year Annual Research Report
国東半島産七島イの持続可能な地域資源としての利用に関する研究
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15H00406
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
岩見 裕子 大分大学, 工学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | Cyperus monophyllus Vah1 / カーボンニュートラル / セルロース |
Outline of Annual Research Achievements |
大分県国東半島産の農作物であるシチトウイは, 主に畳表の原料として利用されその畳表はイグサ製のものと比較して, 耐摩耗性などの強靱性・燃焼遅延などの防火性があることが知られている. この研究ではシチトウイの生物資源としての活用を考慮し, その植物構造の特徴と繊維の強靱性について考察した. 準備段階では, シチトウイを光学顕微鏡およびSEMにて観察し, 植物構造がイグサと異なることを確認し比較を行った結果, 維管束の分布や太さおよび外皮の厚さが強靱性に関与していると結論づけた. シチトウイの植物構造の各部位についてX線回折測定し, セルロースの結晶性を確認した. セルロース結晶化度は外皮が42%と一番多く, セルロース繊維の結晶性が高い外皮が厚いことが強靱性に関与する重要な要因の一つであると考察した. (1)七島イの構造特徴の調査 準備段階で操作型電子顕微鏡観察(SEM-EDS)により特徴的な元素(カリウム, ケイ素)を確認した, さらに元素分析のマッッピングが可能な電解放出型走査顕微鏡で, 構成元素が植物組織の特定の部位に局在しているかを観察した. 茎の断面観察からは, カリウムとケイ素の全体的な分布が観察されたが, 局在している状況は観察されなかった. 植物体における分布差を詳細に比較するために, 部位別に分別し, 元素分析を行った. 維管束部分よりも, 表皮部分にケイ素が多く含まれること, 七島イの表皮部分のケイ素の含量はイグサよりも多いことを明らかにした. (2)七島イ由来成分の取り出しと原料としての検討 七島イを物理・化学処理(NaOHaq. 浸漬, 固形分を水洗後, 水に懸濁後ミキサー処理で繊維を微細化)し, 七島イ繊維を得た. 取り出した繊維の大きさは径3. 4~8.4μmx長さ0.07~24mmであった. 七島イ繊維を汎用樹脂のポリエチレンと複合化(0~5%七島イ繊維含量)し, 熱伝導率および引っ張り強度の測定をおこなった. 熱伝導率は0%含量と5%含量には差が見られなかったが, 引っ張り強度は七島い繊維と複合化することで高くなった.
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Research Products
(1 results)