2015 Fiscal Year Annual Research Report
電子レンジを用いたコバルト青色顔料の短時間合成法の開発と科学啓発活動への展開
Project/Area Number |
15H00412
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
米田 美佳 岡山大学, 工学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 電子レンジ / 短時間合成 / 顔料 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 青少年の科学的関心を喚起する上で「色」は極めて効果的な実験テーマの一つである。しかし、身の回りの工業製品の着色に用いられる顔料の合成は、焼成に時間がかかることから科学啓発活動の題材としてほとんど取り上げられていない。本研究では、絵の具の色にもなっていることから青少年にとってなじみが深いと考えられるコバルトブルーを取り上げ、電子レンジを用いて短時間で合成できる簡便な手法を開発するとともに、科学啓発活動へ展開することを目的とした。 【研究方法】 コバルトとアルミニウムの水酸化物及び酸化物をそれぞれモル比がCo:Al=1:2となるように秤量し、マグネット乳鉢内で100分間混合した。混合粉体をアルミナるつぼに入れて、アートボックス内に設置し、家庭用電子レンジで5~20分加熱した。 【研究成果】 原料の組み合わせを変化させた結果、水酸化コバルトと水酸化アルミニウムを用いた場合に最も鮮やかなコバルトブルーが得られた。また、電子レンジによる加熱時間を変化させたところ、加熱時間が長くなるに従い明度及び彩度が増大し、加熱時間が10分から15分の間に彩度が大幅に向上した。得たコバルトブルーの色調を通常の電気炉焼成(1200℃, 昇温速度1℃/min, 2h保持)と比較したところ、20分の加熱時間で得た試料がほぼ同一の色調であった。本結果は、電気炉焼成と同等のコバルトブルーを電気炉と比べて極めて短い時間で合成できることを示している。このことから、本法は顔料を短時間で合成できる手法であり、科学啓発活動で顔料の合成実験が実施可能となると考えられる。 本研究で得られた成果を活用し、平成28年度岡山大学公開講座にて体験実験を実施することが決定しているほか、青少年を対象とする体験教室も今後実施予定である。
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Research Products
(1 results)