2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H00420
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉山 博則 金沢大学, 理工研究域, 技術職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 金ターゲットの再生 / 電析実験 / 金コロイド溶液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電子顕微鏡観察で用いるイオンスパッタ装置の使用済み金ターゲットを再びターゲットとして再利用するプロセスを構築することおよびその過程で排出される未反応の金について有効利用法を検討することを目的とした。 使用済み金ターゲット処理用の装置をポリカーボネートにて作製した。その際、設計には、3DCAD、CAMを用いてNCフライス装置にて材料を切削し組み立てた。本研究で作製した装置は、ターゲット電極槽、中間槽、炭素電極槽の3槽型電析装置であり、各液槽は市販のイオン交換膜で仕切られている。本装置を用いて、実験を行った。使用済み金ターゲットをヨードチンキ溶液で処理して、ターゲット基板から金を溶液として分離した。その後、中間槽液として70%エタノール水溶液および炭素電極槽液として硫酸カリウム溶液を準備し、アスコルビン酸溶液で還元した金溶液をターゲット電極槽液として用いた。ターゲット基板電極を陰極、炭素電極を陽極として直流電源に接続して電析を行った。 電源起動後から、ターゲット基板上に金の析出を確認し、本法を用いることでターゲット基板上への金膜形成が可能であることが確認されたが、均一な金膜を形成することはできなかった。均一な金の層を形成するために実験条件等の検討が必要であることが明らかとなった。また、ターゲット電極には、金以外にもヨウ素等の析出が確認された。今後、実験条件の最適化と実験装置の改善を継続する予定である。 また、本研究で得られた金溶液を還元することで淡緑色の溶液および淡赤色の溶液が得られることが確認された。これは、金コロイド粒子による、表面プラズモン共鳴によるものである。還元前の金溶液の濃度を調整することで金コロイド溶液の色を制御できることが示唆された。発色の制御については、今後さらなる条件検討を行う必要があるが、本研究により、金コロイド溶液の着色剤としての利用可能性が明らかとなった。
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