2015 Fiscal Year Annual Research Report
梨剪定枝からアルカリ賦活法による活性炭化物の製造とその水質浄化能評価
Project/Area Number |
15H00427
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Research Institution | 日立オートモティブシステムズ株式会社 |
Principal Investigator |
今野 克哉 日立オートモティブスステムズ(株), 会社員
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Project Period (FY) |
2015 – 2016
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Keywords | 活性炭 / 水酸化ナトリウム賦活 / リン酸イオン吸着 / 梨剪定枝 |
Outline of Annual Research Achievements |
梨剪定枝の有効活用を目的に, 梨剪定枝から水酸化ナトリウム賦活処理により水質浄化能を持った活性炭を製造し, その水質浄化能を評価した. 梨剪定枝を110℃, 3時間の乾燥したものを原料とした. 梨剪定枝重量当たりの水酸化ナトリウム重量(以下, 水酸化ナトリウム比と呼ぶ)を変化させて賦活温度800℃で1時間の賦活処理した結果, 水酸化ナトリウム比の増加により比表面積は最大値を示した. 本条件では水酸化ナトリウム比が0.5の時に, 比表面積が最大値598㎡/gの梨選定活性炭を得た. また, 水酸化ナトリウム比を0.5とした時に賦活温度を600~800℃で変化させた結果, 賦活温度とともに比表面積は大きくなり, 比表面積は800℃で最大値598㎡/gであった. 活性炭の細孔構造を調べるため77Kでの窒素吸着等温線を測定した結果, 水酸化ナトリウム比の増加, または賦活温度の上昇により比表面積が大きくなるほど, 相対圧0.4以上での窒素吸着量が多くなることから, 活性炭の細孔構造は比表面積の増加によりメソ細孔が発達することがわかった. 水酸化ナトリウム比0.5, 賦活温度800℃で製造した梨選定活性炭0.1gをリン酸イオン濃度20mg/Lのリン酸水溶液, またはリン酸二カリウム水溶液20mLに24時間浸し, 水溶液に残存するリン酸イオン量をモリブデン青吸光光度法(JIS K 01002 46.1.1)にて測定した結果, リン酸二カリウム水溶液ではリン酸イオンの吸着は認められなかったが, リン酸水溶液中ではリン酸イオンの吸着が認められ, その吸着量は3.97mg-HPO^<3->/g-ACであった. 市販の活性炭(和光純薬製, 特級, 賦活方法 : 塩化亜鉛賦活, 原料 : おがくず等, 比表面積 : 1596㎡/g)でのリン酸水溶液のリン酸イオン吸着量は4.00mg-HPO^<3->/g-ACであり, 梨剪定活性炭は市販の活性炭よりもわずかにリン酸イオン吸着量が低かった. これは, 活性炭の重量あたりの比表面積の差によると考える. 使用した活性炭の面積当たりの吸着量を比較すると, 梨剪定活性炭の吸着量は6.64mg-HPO^<3->/㎡であり, 市販の活性炭の吸着量2.50mg-HPO^<3->/㎡よりも多く, 梨剪定活性炭のリン酸イオン吸着能が高いことがわかった.
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