2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規バイオリソース確立の基盤技術としてのアカネズミ属齧歯類SPF化の試み
Project/Area Number |
15H00445
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
七條 宏樹 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 技術職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | SPF化 / 里親哺育 / アカネズミ属齧歯類 |
Outline of Annual Research Achievements |
アカネズミ属齧歯類を新規実験動物として確立し、オープンリソースとするための微生物学的清浄化(SPF化)技術についてヨーロッパモリネズミ(Apodemus sylvaticus)を用いて検討した。 マウスやラットにおいて一般的なSPF化法である「里親哺育方式」を検討した。具体的には、代理母にはICRマウスを用い、ICRマウスの産仔数を調節しながらヨーロッパモリネズミの産仔の哺育条件を調べた。その結果、ICRマウスの産仔の数に偏りが大きいと、ヨーロッモリネズミ産仔の離乳率が低下した。様々な哺育数を検討し、ICRマウス産仔6頭に対し、ヨーロッパモリネズミ産仔2頭の合計8頭の哺育条件が、最もヨーロッパモリネズミの離乳率が高いことが明らかとなった。また、巣材を入れることや、帝王切開摘出個体の体を拭くことも、里親哺育の成功率向上につながった。 ヨーロッパモリネズミをSPF化するには、臨月に達した妊娠個体から無菌的に帝王切開し、SPFマウスに哺育させる必要がある。しかし、ヨーロッパモリネズミは妊娠期間のばらつきが大きく、帝王切開の時機の確定が難しい。そのため、代理母の出産との時機を合わせる上で、このばらつきが問題となる。既にラットでは、持続性黄体ホルモン製剤投与により出産時機の調節が可能との報告がある。同手法をヨーロッパモリネズミにおいて試行したところ、出産時機の調節が可能であることが明らかとなった。これにより、比較的容易に代理母の出産時機と合わせることができるようになった。 ヨーロッパモリネズミの産仔に里親哺育方式を行うための技術確立は成功した。しかし、里親哺育方式の条件確立に予想以上の期間を要し、SPF環境での長期飼育には至っていない。今後は、SPF条件下でのモニタリングを継続していく。
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