2015 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカゾウの発情回帰刺激に対する行動および血中ホルモン濃度の変化
Project/Area Number |
15H00450
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Research Institution | 熊本市動植物園 |
Principal Investigator |
松本 充史 熊本市動植物園, 獣医師
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Project Period (FY) |
2015 – 2016
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Keywords | アフリカゾウ / 発情回帰 / プロラクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 日本国内におけるアフリカゾウの飼育個体数は46頭(2010)であるが, 将来予測頭数は7頭(2030)((公社)日本動物園水族館協会 種保存委員会報告(2013))となり, 繁殖が進まなければ、国内個体の絶滅が危惧されている。熊本市動植物園では2頭のメスのアフリカゾウを飼育しているが, 繁殖には供されていない。現在、人工繁殖に向けたトレーニングを行っているが, 2頭ともフラットライナー(排卵停止状態)となっており、その発情の回帰が人工繁殖を目指す上で必須である。そのため、発情回帰刺激を発見することを目的とし、行動観察実験とホルモン測定を実施した。 ○研究方法 熊本市動植物園飼育のアフリカゾウメス2頭を供試動物とし, 発情回帰刺激となる可能性が考えられる物質(発情期のオスゾウの糞)を提示し, 行動観察実験と発情の指標であるプロジェステロンホルモン測定を実施した。オスゾウの糞での実験経過中に、発情阻害因子になりうるプロラクチンホルモンの増加がみられたため、プロラクチンホルモンの抑制による発情回帰の影響を確認するため、抗プロラクチン薬をゾウに投与した上で行動観察実験とホルモン測定を行った。 ○研究成果 1. 発情回帰刺激物質として提示したオスゾウの糞に対し、血中プロジェステロン値の変化及び行動の変化は見られなかった。 2. 行動観察中に供試個体から乳汁漏出がみられたため、プロラクチン値の測定を行ったところ高値を示した。 3. 抗プロラクチン薬を投与したところプロラクチンの値が減少した。 4. 発情の1サイクルである4ヶ月を経過したが、プロラクチン減少に伴い、血中プロジェステロン値の変化及び行動の変化はみられず、発情は回帰していない。
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